2014年に米蒸留酒大手ビームを160億ドルを投じて買収したサントリーホールディングス(HD)。傘下に収めたビームの面々はプライドの塊だった。「バーボンは米国の心。ロックフェラーセンターを買収したようなもの」とサントリーHDの5代目社長、新浪剛史氏は思った。抵抗するビーム側とどうやって人間関係をつくり、統合作業を進めていったのか。ビームの強さを認める一方、日本流の良さをどうやって浸透させていったのか。共同開発品の発売だけではない。ものづくりや営業の現場でも統合の効果は見え始めている。
シリーズ
サントリー×ビーム 恩讐超え、世界で勝つ芽

完結
5回
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サントリーHDの新浪社長、酒場を知るため「腹をくくって営業移転」
サントリーホールディングス(HD)は今春、5年前に買収した米ビームとのスピリッツ(蒸留酒)事業の統合作業を完了した。組織を一つにして経営権を掌握する一方、米国でハイボールブームを起こし、ビームサントリーは5期連続の増収と…
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日米のレジェンドが生む物語、アジアに通用するか
2016年秋、ビームサントリーの主力生産拠点である米ケンタッキー州を訪ねたサントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長は、言葉を失った。ジムビーム蒸留所で、多くの従業員が仕事を投げ出し、ストライキが起きていたのだ。
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合言葉は「GENBA(現場)」、米国でハイボールブーム起こす
「GENBA(現場)が大切だ」。10月18日、米・シカゴのビームサントリー本社でインタビューに応じたアルバート・バラディCEO(最高経営責任者)は、この言葉を何度も繰り返した。「この統合は正しかった」。恩讐を乗り越え、組…
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5年越しのビーム統合、実らせたのは「冷静と情熱のあいだ」
買収したビームはプライドの塊だった。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は、「情」と「理」の両面を丁寧にすり合わせることで、東西のウイスキー文化の強みを持つユニークなグローバル企業を誕生させた。
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借り入れ1.6兆円の「やってみなはれ」、サントリーの決断
2014年5月15日、サントリーホールディングス(HD)の佐治信忠社長(当時)は都内のホテルで晴れがましい笑みを浮かべ、駆け付けた100人を超える報道陣を前に記者会見に臨んだ。「酒類事業のグローバル化は遅れている。ビーム…
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全8回