まるで赤字企業が経営再建策を発表しているかのようだった。

 セブン&アイ・ホールディングスは10月10日、2019年3~8月期の決算を発表した。連結営業収益は前年同期比0.9%減の約3兆3000億円だったものの、営業利益と純利益は第2四半期としては過去最高となった。しかし、「各事業でさまざまな問題が出ている」(井阪隆一社長)として、グループの中核であるセブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、そごう・西武の各社の構造改革策も同時に発表した。

 業績が振るわないイトーヨーカ堂とそごう・西武については、店舗閉鎖や人員削減などのリストラ策が改革の中心となる。

 そごう・西武は20年8月に西武岡崎店(愛知県岡崎市)、西武大津店(大津市)、そごう西神店(神戸市)、そごう徳島店(徳島市)を、21年2月にそごう川口店(埼玉県川口市)を閉店する。西武秋田店(秋田市)と西武福井店(福井市)は営業面積を縮小する。人員は22年度末までに、自然減も含めて約1300人を削減する。

 イトーヨーカ堂は33店舗について外部連携や閉店を検討。食品スーパーの「食品館」については分社化も考える。22年度末までに従業員を約1700人削減する。

 最高益更新でも改革を打ち出すのは、日本を代表する流通グループとしての底力を示したとも言える。その一方で、好調な業績とは裏腹にセブン&アイが抱えている危機感は大きいと見ることもできる。

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