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 香港政府が緊急法を行使すれば、おそらく市民や議員から違憲審査(香港基本法や他の法律に抵触するかどうかの審査)が申し立てられることになるだろう。香港司法がどう判断するかは分からない。違憲と認めるとしても、その判断までの間、香港政府には、緊急状況を打開するためのあらゆる手段を講じるための力が与えられることになる。

 このニュースを受けて、3日の香港株式市場は1週間ぶりの高値を付けた。

 かつて英国が香港に求めたもの。今、米国という名のグローバル経済が求めるもの。世界に覇を唱えたいと願う中国が求めるもの。そして経済格差の激しい香港で、一部富裕層が求めるもの。3日の株価の高値は、香港という大陸の末端に代々住みついて生きている生身の人々の思いとそれらが残酷なまでに乖離(かいり)していることを物語る。

 そして、彼ら彼女ら香港人は、その隔たりを埋めるための「民主主義」という名の武器を持たないのだ。

 次回に続く。

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