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デモ参加者を警棒で殴打し、拘束を試みる警官たち。腰間には拘束具や催涙スプレーに加えて一丁の拳銃を備えている(写真/的野弘路)

 10月1日、国慶節に起こった警察の実弾発砲について、続報だけ短くお伝えしたい。

 前回の記事では、18歳の高校生(香港では中学5年生)が被弾した荃湾(センワン)と、デモ隊を追い払うために宙に向かって威嚇射撃した油麻地(ヤウマティ)の事例についてお伝えした。一夜明け、全容が明らかになりつつあるのでここに追記する。

 1日深夜に香港の警務処長(警察トップ)・盧偉聡が記者会見を開き、警官が4カ所で6発の実弾を撃ったことを認めた。上記でお伝えした以外に、同じ荃湾の別の場所と黄大仙(ウォンタイシン)で発砲があったとし、「警官たちは自らの生命に脅威を受けている、または同僚の警官の生命が危機にさらされていると感じて行動を取った」「合法合理である」と説明した。

 会見中、ある記者が、荃湾で近距離で引き金を引いたことに触れて「こんなに近くから人を撃ったのは、殺そうとしていたのではないか」と尋ねた。盧は「(被弾者と警官の)距離を決めたのは警官ではない。襲撃者が近距離まで自らかかってきたので、そのときには(発砲の)ほかに選択肢がなく、手にした武器を使ってその行為を制止した」と回答した。

 雨傘革命時以降、デモ隊を鎮圧するために警官の撃った実弾がデモ参加者に命中したことは一度もなかった。香港警察は、ゴム弾や催涙弾など暴徒鎮圧用の「非致死性(低致死性)兵器」の使用に留まっていた一線をついに越えた。

 警官がデモ隊に囲まれ、暴行を受けるなどの危機にあって発砲したのか、あるいはそうではないのか。政府や警察は常に正当防衛や緊急避難を主張し、デモ隊やその賛同者は過大な暴力の乱用を非難する。私が見聞きした情報から抱く実感は後者に近いが、それを断じるだけの十分な取材はできていない。

 ただ1つはっきりしていることは、これまでほとんどなかった実弾の発砲が、10月1日という日に4カ所で起こったという事実だ。偶然とは考えにくい。