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 デモが暴徒化している、という報道がある。欧米社会や日本を訪れて「民主化」への支援を求める黄之鋒や周庭などの若いアイコンにインタビューする記事もある。だが、それぞれが伝えているものは、香港で起きていることのほんの一面でしかない。

 この連載では、香港でいま起きていることについて、記者の力量に余るが、出来事それ自体を散発的に報じるのではなく、その出来事を生んでいる構造について少しでも明らかにしていくことを試みたい。英国からの返還以来、香港というシステムが宿命的に抱えてきた構造についても触れることになるだろう。

 なお、自殺についての報道には、追随者を出さないための正しい配慮が必要とされる。これを逸脱した香港内でのセンセーショナルな報道、もしくはSNSでの伝播(でんぱ)によって追随者が増えている可能性がある。ただし、この連載は日本語で書かれ、主として日本人に読まれるものであり、本記事によって追随を引き起こす可能性は低いと考えている。香港社会と今回の騒動の構造を書く上では避けられないと判断する範囲で、上記のガイドラインになるべく抵触しないように配慮しながら、自殺についても連載記事の中で扱う可能性があることをあらかじめお断りしておく。

 また、そもそもデモのきっかけとなった「逃亡犯条例」とは何か、なぜデモが起こったのか、というところから知りたいという方は、この連載を読む前に6月13日に配信した「香港デモは「最後の戦い」、2014年雨傘革命との違い」をご一読いただきたい。

 今日これを書いている間(9月24日午前)にも、9月21日にインタビューした民主派議員・鄺俊宇が香港郊外の天水圍で暴漢に襲撃され、病院に搬送されたというニュースが飛び込んできた。香港での情勢が動き続けているため、いま予定しているかたちで記事を書いていけるかどうかは分からない。変更もあると思われるが、今のところ以下のようなかたちで書き進めていきたいと考えている。

 次回に続く。(敬称略)

連載「香港2019」の掲載予定記事

・親政府派議員の囁き「習近平は香港デモを潰さない」
・眠らない街で催涙弾の霧の向こうからゴム弾が襲う
・ある青年の死、黄色いレインコートが200万人を動かした
・冷静を失った香港警察、不信の応酬、地下鉄駅で消えた3人
・相次ぐ自殺、装甲車でなく社会に殺された10余人の若者たち
・形式だけの法治主義が残した傷、無力な香港基本法
・親政府派議員が声を潜めて語ったリアリズム
・首から下だけ写真に映ることを許した若者たちが語ったもの

※お断りなく上記の掲載予定を変更することがあります

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