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“異次元”と形容された金融緩和とインバウンドブームが相まって、一部の都市の不動産価格は上昇の一途をたどっている。寺社仏閣の集まる古都、京都はその右代表だ。外国人観光客の増加でホテル建設が加速、京都市の公示地価は全国トップレベルの上昇率を誇る。

日経ビジネスでは、9月2日号(予定)で過熱する不動産市場を分析した特集を掲載する。低い調達金利と、他の金融商品に比べて相対的に高い利回りを背景に、ビジネスパーソンから外国人投資家まで様々なマネーが国内の不動産に流れ込む。その中で、これまでは過小評価されていたような不動産も動き始めた。

今の状況をバブルと見るか、グローバル水準に適正化していく過程と見るかは意見が分かれるかもしれない。その結論を出す前に、全国各地で起きている現象を見てみよう。

 京都駅から北東の方角に歩いておよそ15分。七条河原町の交差点を越えてしばらく行くと、細い路地に年代物の古民家や防火用の赤バケツが並ぶエリアにたどり着く。高瀬川と鴨川にはさまれた旧「五条楽園」だ。

 この場所は江戸後期から明治期にかけて人気を誇った遊郭エリアだった。売春防止法が施行された1958年以降は五条楽園と名称を変え、芸妓(げいぎ)一本の花街として営業を続けたが、2010年に京都府警の一斉手入れによって特殊サービスを提供していた経営者が逮捕、業界団体だったお茶屋組合も解散を余儀なくされた。

坪単価は30万円から180万円に

 街を歩けば、唐破風の遊郭建築と、ステンドグラスやタイルを多用した丸窓のカフェー建築が往時の姿をとどめている。

旧五条楽園に特徴的なカフェー建築
昔ながらの古民家と民泊物件が立ち並ぶ
旧五条楽園の入り口にあるサウナの梅湯