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 世界中で民衆の反発が広がり、競争の公平性や徴税などの面で政府による監視の目も強まっているGAFA。日経ビジネス1月6日号特集「終焉 GAFAの時代」では、世界で広がるGAFA覇権への反発と、その先にある国家や企業の未来を検証した。しかし当のGAFAは未開の領域を求めて貪欲に事業を拡大している。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏(写真:Bloomberg/GettyImages)

 「5~10年後の小売りがどう変わっていくのか。それをワクワクしながら考えることこそ、この仕事の醍醐味だ」

 アマゾン・ドット・コムのクラウド部門で小売りおよび卸売販売の技術開発を統括するトム・リッチフォード氏は、こう言って目を輝かせる。「誰でも欲しい物はすぐに欲しい。『あれが欲しい』と思った瞬間、ドアの前に荷物が届く。そんな世界を作りたい」

 「カスタマー・オブセッション」。アマゾン創業者兼CEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏が全社員に徹底する事業開発の最優先事項だ。オブセッションとは、執着や夢中という意味。新しい事業を起こしたり既存事業を発展させたりする時、顧客が自分に憑依(ひょうい)したかのように相手の立場になって、ニーズをトコトン追求するのがアマゾンの流儀だ。

 そのためなら飛行機だって飛ばすし、人工衛星だって打ち上げる。アマゾンは16年から宅配のスピード化を目指して貨物飛行機の運用を始めた。その数は40機に増え、19年12月17日には米格安航空会社のサンカントリー航空との提携を発表。20年中にさらに10機を追加する予定だ。

 19年4月にアマゾンが発表した人工衛星3236基を地球低軌道に打ち上げる計画「プロジェクト・カイパー」の背景にも、顧客ニーズがある。ネット通販の仕組みを地球上のどこにでも届けようとすれば、配達インフラのほかに通信インフラが要る。実現のために米スペースXで衛星事業を担当していたチームも引き抜いた。