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動き始めた評価制度見直し「年次による昇格枠を廃止」

 トヨタはさらに、評価制度の見直しを労使で議論し始めた。協議の場は月に1回で、これまでに計5回。会社側は人事本部長、組合側は副委員長をトップとし、ひざ詰めの議論が続く。

 8月21日の5回目の労使専門委員会で、トヨタは初めて総合職の評価制度見直しの具体案を組合に提示した。目玉は、桑田副本部長が「見直していきたい」と発言した、年次による昇格枠の廃止にある。

 曖昧だった評価基準を、トヨタの価値観の理解・実践による「人間力」と、能力をいかに発揮したかという「実行力」に照らし、昇格は是々非々で判断するとした。「ぶら下がっていただけの50代は評価されない。これから降格も視野に入るだろう」(先の関係者)

 組合執行部は「勤続年数や年齢ではなく、それぞれの意欲や能力発揮の状況をより重視する方向だ」と好意的に受け止め、運用の詳細について引き続き議論していくとしている。

 評価制度だけでなく、一時金の成果反映分を変更する加点額の見直しや、中途採用の強化などを労使は議論している。トヨタは総合職に占める中途採用の割合を中長期的に5割に引き上げるとも報じられている。桑田副本部長は人事制度の見直し全般について「試行錯誤しながらやっていきたい。長く議論しても意味がないので、よく考えながら進めたい」とした。

 前代未聞の労使交渉延長戦から見えてきたのは、変われない社員に対する警告ともいえる人事制度の再点検だった。幹部職の創設から中途採用強化まで、トヨタは100年に1度の大変革を乗り越えるべく、従来の雇用モデルを見直そうとしている。