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トヨタ労組「機能していない人がたくさんいるのでは」

 事実、河合副社長も「取り組みはまだまだ道半ば。マネジメントも含め、変わりきれていない人も少なくとも存在する」と報道陣に述べ、トヨタ自動車労働組合の西野勝義執行委員長も労使交渉の場で「職場の中には、まだまだ意識が変わりきれていなかったり、行動に移せていないメンバーがいる」と会社側に伝えた。

 この問題に対応するため、トヨタ労使は、春季交渉からの延長戦の中で、現場の意識の確認とは別に、評価制度の見直しに着手していた。

 労使交渉の関係者などへの取材によると、トヨタにはいまだ、年次による昇格枠が設定されている。総合職に当たる「事技職」では、40歳手前で課長、40代後半で部長というのが出世コースで、このコースから外れると挽回はほぼ不可能とされる。労使交渉では、組合側から「機能していない人がたくさんいるのではないか」「組織に対して貢献が足りない人もいるのではないか」という率直な意見が出た。

 関係者は語る。「リーマン・ショックまでは拡大路線が続き、働いていなくても職場の中で隠れていられた。最近はそうはいかず、中高年の『働かない層』が目立ち始めた」

 秋の労使交渉後に報道陣の取材に応じたトヨタ自動車総務・人事本部の桑田正規副本部長は、日経ビジネスの「年功序列をどう変えていくのか」との質問に対して「これまでは『何歳でこの資格に上がれる』という仕組みがあった」と認め、こう続けた。

 「その仕組みが、現状を反映していない場合もあった。例えば、業務職では、ある程度の年齢にならないと上がれなかったが、その期間が長すぎた。明らかに時代に合っていないものは見直していきたい。それ以外(の職種)でも、できるだけ早めにいろんな経験をさせたい。大きく(年功序列の仕組みを)撤廃するということではなく、多少、幅を広げていきたいと思っている」

 トヨタは今年1月、管理職制度を大幅に変更した。55人いた役員を23人に半減し、常務役員、役員待遇だった常務理事、部長級の基幹職1級、次長級の基幹職2級を「幹部職」として統合。「事実上の降格」を可能にした。

 ただし、幹部職の創設は人事制度改革の入り口にすぎない。