激化する外国人材の囲い込み
日本のホテルや旅館向け海外インターン生の受け入れに取り組んできた教育文化国際交流財団は、介護分野での人手不足を解消しようとこれまでベトナムでインターン生の送り出しに携わってきた。ただ同財団の岡村貞彦会長によれば、「人材に対する評価が比較的高いベトナムでは、既に奪い合いが激しくなっており、優秀な人が採りにくくなっている」という。
そこで外国人材を欲する団体や企業は、インドネシアを始めとする東南アジア各国でいち早く優秀な人材を確保しようと囲い込みに動く。たとえばインドネシア人材の紹介を手がけるインドネシア日本ビジネス連盟(IJBF)の元には、複数の大手飲食チェーンや建設会社などから数十人、数百人規模で採用を検討したいとの声が相次ぎ寄せられている。
カンボジアで技能実習生を送り出してきたある関係者は「特に飲食分野では大手チェーンが優秀な人材をがっちりと囲い込んでいるため、我々のような小規模な業者が入り込む隙間がない」と話す。
人手不足を受けて新設された在留資格「特定技能」は今後5年で34万人を受け入れることを想定しているが、その数は日本の人手不足を解消するには足りない。特に介護分野では2025年度には55万人の不足が生じると指摘される一方で、特定技能で受け入れを見込むのは6万人に過ぎない。少しでもそのギャップを埋めようと、各企業による囲い込みや外国人材の青田買いの動きは今後一層激化しそうだ。
日経ビジネス電子版の議論の場「Raise(レイズ)」では、日本が停滞から抜け出すために打つべき一手を考えるシリーズ「目覚めるニッポン」を始めています。外国人労働者の受け入れについても、「 [議論]外国人労働者、このまま受け入れを拡大すべき?」にて読者のみなさんの意見を募集しています。
外国人受け入れの是非のみならず、その前提となる雇用のあり方や働き方の課題についてなど、幅広いご意見をいただければと考えています。(注:コメントの投稿は有料会員限定です)
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