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世界で4番目に外国人を多く受け入れる「移民大国」となった日本。新たに導入された在留資格「特定技能」で主な人材の供給源として想定している東南アジアでは、介護や飲食などの業界で囲い込み競争が激しくなっている。ベトナムなどでは既に優秀な人材が採りにくくなっているという。

※この記事は日経ビジネス2019年8月19日号特集「「ブラック国家」ニッポン 外国人材に見放されない条件」の関連記事です。詳しくは特集をお読みください。

 6月、インドネシア教育大学のスメダン校で、国際インターンシップを手がける一般財団法人「教育文化国際交流財団」(京都市)などが日本の介護施設へのインターンを希望する看護学生約60人に対し面接を実施した。

日本の介護現場でのインターンを希望するインドネシア教育大学の看護学生。日本語の習得が最大の課題だ。

 「インドネシアの病院は仕事がきつく給料は安い。看護の専門知識を生かしたいという気持ちもあるけれど、日本で介護の仕事に挑戦してみたいと思っている」。こう話す大学3年生のネンデンさん(21歳)は、埼玉県の狭山不動産(埼玉県狭山市)が運営する介護施設「ブリエライフ狭山」でインターンとして働くことが決まっている。日本語能力試験に合格次第、年内にも来日する計画だ。

 インドネシアと日本は6月25日に介護分野を含んだ新しい在留資格「特定技能」で協力覚書を交わした。ただ、介護分野での受け入れに必要な試験の日程や具体的な実施方法などは決まっていない。介護の仕事は高齢者とのコミュニケーションが必須で専門性も伴うため、どんな外国人でも受け入れられるわけではない。

 一方、深刻な人材難にあえぐ介護施設は専門知識のある外国人労働者を一刻も早く必要としているのも事実。そこで事業者が目を付けたのが、専門知識を持つ看護学生に日本の介護現場を学んでもらうインターン制度の活用だった。同財団によれば、インドネシア人看護学生の受け入れを希望する介護施設は増えており、既に10施設以上で受け入れ準備を進めているという。

 介護の人手不足は深刻だ。ブリエライフ狭山の川平兼司部長によれば、国内で採用できる人材の質の低下が著しく、どの施設が問題のある人材を引き当てるのかの「『ババ』抜きのような状況が続いていた」という。それでも就職希望者がいる限りはまだマシ。1年ほど前からは希望者がほとんど来てくれなくなったという。

 質が高いとはいえない人材を雇用するくらいなら、専門知識を持ち、意欲の高い外国人材に来てもらいたい。そう考えて川平部長は財団とともにインドネシアまでやってきた。「インターンで日本の介護の仕事を知ってもらい、その後、特定技能で再来日し、長く働いてもらいたい」と川平部長は言う。インターンの受け入れは、新しい在留資格で働く外国人材をいち早く囲い込むための手段でもある。

 ネンデンさんもインターン後は特定技能の在留資格で日本で働くことを希望している。言葉の問題や、食事、文化の違いなど心配事は尽きず、「日本で働くことが楽ではないことも分かっている」と話す。大学では介護に関する授業も受けてきた。そのスキルには自信を持っている。