日本人よりも稼ぐ

 「ご乗車ありがとうございます」。日の丸交通のタクシーに乗り込むと、少し癖のある日本語で迎え入れるのはパキスタン人運転手のムハンマド・リハンさん(34)。パキスタンの大使館職員として日本に駐在したときに、日本人女性と結婚。家族の意向で、18年9月にタクシードライバーとしてデビューした。たどたどしさが少し残る日本語だが、安全運転で乗客を目的地に届ける。

日の丸交通のドライバーとして働くパキスタン出身のムハンマド・リハンさん(写真:陶山勉)
日の丸交通のドライバーとして働くパキスタン出身のムハンマド・リハンさん(写真:陶山勉)

 日の丸交通(東京・文京)では、現在20カ国40人の外国人ドライバーが都内を走る。タクシー業界はドライバーの高齢化もあり慢性的な採用難に直面している。外国人ドライバーがいる会社もあるが、人数は少なく、在日の韓国人や中国人が大半という。日の丸交通では永住者や配偶者ビザで滞在し、漢字が読めて日常会話ができ、国内外で3年以上の免許取得期間を持つ人を対象に採用している。エジプトやオーストリア、ロシア、スリランカなど多岐にわたる国籍の外国人が働く。

 日の丸交通が外国人の採用に力を入れ始めたのは2年ほど前から。きっかけは、たまたま入社していた在日ブラジル人ドライバーの好成績に着目したことだった。一般的なドライバーの営業成績は1日平均で5万円程度なのに対し、そのドライバーは毎日8万円近い売り上げを稼いでいた。1300人のドライバーが在籍する日の丸交通でトップ10に入る成績優秀者だった。

 「タクシーの運転手の給料は歩合制。だからハングリー精神が高い外国人に向いているのでは」。そう考えた日の丸交通が求人広告を展開し始めたところ、応募が殺到。現在では毎月60~70人もの応募があり、日本語能力などで選考し月2~3人が入社する。入社後に研修を受け、タクシーの営業運転ができる普通自動車二種免許の取得を目指す。

 同社の企画部の福家孝之課長代理は「(外国人ドライバーは)まだ経験は少ないものの日本人ドライバーより1割程度高い成績を残している」と話す。ベテランドライバーに学ぼうとする意欲が高いことから、成績の差はさらに広がる可能性もある。前述のムハンマドさんも「タクシーの仕事は簡単だと思っていたが、違った。日々ベテランの人に都内を走るこつを教えてもらっている」と話す。日本人の採用が難しくなり、さらに訪日客が増える中で、外国人の活躍がタクシー業界を支える日が来るかもしれない。

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