全2358文字

 大統領を国民の投票で決める米国では、予備選から大統領選までのプロセスすべてが国を挙げての一大イベントになる。投票日の前年の6月から始まり、重要な役割を果たすのが、候補者が互いの政策をぶつける「テレビ討論会」だ。討論会はYouTubeなどでオンライン視聴できることも多い上、工夫次第で日々の仕事に役立てることができる。ここでは、そんなテレビ討論会の「活用術」を取り上げる。

※この記事は日経ビジネス7月29日号特集「アメリカの実相 保護主義でも生き残る日本企業」の関連記事です。詳しくは特集をお読みください(有料会員限定)。

 現在、視聴できるのは、6月末にフロリダ州マイアミで実施された民主党候補者たちの討論会1回目と、7月30~31日にミシガン州デトロイトで開かれた同2回目だ。各回は2夜連続で開催され、上位20人が2グループに分かれて意見を戦わせた。民主党は20年2月に始まる指名争いの選挙までに討論会を計12回、予定している。

 放映は大手テレビ局が持ち回りで担当する。候補者たちに国民の関心事を投げかけるナビゲーター役も担当局の記者が担当するため、各局の特徴を知ることもできる。ちなみに民主党討論会の1回目を担当したのがNBCで、2回目がCNNだった。

ポイント1 会場の反応はいかに?

 視聴するときのポイントは大きく3つある。一つは、どんな話題が会場の聴衆の興味を引いているかだ。討論会は大きな会場で開かれ、たくさんの有権者が会場に詰めかける。どんな話題で拍手やブーイングが起こるかに注目すると、その話題の重要度が見えてくる。

 また討論会で語られる内容は米国民が「課題」ととらえているものだ。課題は言い換えればビジネスチャンスでもある。事業展開の何らかのヒントになる可能性が高い。

 これまでの民主党討論会の議論の中心は「医療制度(ヘルスケア)」「気候変動」「人種差別」「経済格差」「貿易政策」だった。中でも多くの時間を割いたのがヘルスケア。医薬品業界の企業は注目すべきだろう。

 また候補者の特徴を抑えるときにも役立つ。例えば、バーニー・サンダース上院議員は、国民皆保険の導入を訴える急進左派。現時点でジョー・バイデン氏に次ぐ2位の支持率を獲得しており、情勢次第ではトランプ大統領の対抗馬になる可能性もある。

ジョー・バイデン前副大統領 支持率1位(2019年7月31日現在32.2%)
(写真:Sean Rayford/Getty Images)

オバマ政権で副大統領を務めた中道派。支持率が最も高く最有力だが、討論会では他の候補者の標的にされることが多く苦戦している。

バーニー・サンダース上院議員 支持率2位(16.2%)
(写真:Sean Rayford/Getty Images)

16年の民主党予備選では最後までヒラリー・クリントン氏と争った。大企業の富を低所得者層に分配する政策を主に若い層が支持している。

注)支持率はすべて政治メディアの「リアル・クリア・ポリティックス」より。