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今年、創業102年を迎えるパナソニック。業績は伸び悩み、株価もさえない。ライバルのソニーが復活の印象を強める中で停滞感すら漂う。いったい、パナソニックはどうなってるのか。
日経ビジネス2020年1月27日号特集「どうなってる? Panasonic」で掲載した津賀一宏・パナソニック社長の独占インタビューを全文公開する。

日経ビジネスの編集長インタビューに答える津賀一宏社長(写真は今紀之、以下同じ)

2020年3月期は減収減益の見通しです。これからやろうとしていること、あるいはこれまで改革を進めてきた中で、20年3月期決算をどう位置付けますか。

 我々が目指してきた、売り上げを伸ばし、営業利益率で5%を出すという視点においては、売りもなかなか追えていないですし、利益率も5%に足りない状況です。不本意な数字であるというのは間違いないでしょう。

 要因の一つに米中貿易摩擦があります。利益率の高い中国関係のビジネスがダメージを受けています。かなりの部分が一時的なものであるとは理解していますが、一方でいつこれが元に近い形に戻るかは分からない。不本意な数字の8割はこうした外部要因にあると我々は思っています。

 残りは内的要因です。特に車載事業では相当頑張って事業の拡大を目指してきましたが、足元では開発費の増加や、米テスラ向け電池ビジネスのオペレーション力の不足などの影響で赤字になっています。ただし、テスラ向けは来期は黒字転換するめどが立ちつつあります。利益面で厳しくなっている角型電池はトヨタ自動車さんとの協業の立ち上げフェーズに入っており、年を追うごとに収益は改善します。内的要因については原因がかなり見えている。その意味では心配していません。

津賀さんが社長に就任されたのが12年6月。これまでの7年余りを振り返ると、最初の3年間は思い切ったリストラでV字回復を果たし、車載など成長分野を伸ばす戦略を打ち出しました。車載事業がつまずいている中でこれまでの成長戦略の進捗をどう評価しますか。

 まず構造改革をして赤字事業をなくし、事業部制を導入して課題を見えるようにしました。それから(企業向けの)BtoBへ(事業内容を)シフトする視点で産業別のカンパニー制を導入した。

 次に求められたのが、成長戦略でした。比較的短期に成長できる領域を探しました。1兆円ぐらいのお金をかけてでも投資をして成長をしようと。では、どこに可能性があるのか。その一つがオートモーティブだったわけです。

 車載事業は売り上げベースで1兆円から2兆円近くに増えましたので、これは間違いなく成長しました。でも、比較的短期目線での成長戦略を外部から強いられた感覚が自分自身にあるんですね。車載電池については、私は何の後悔もない。慎重に相手を選び、投資を判断してきた。ただ、それ以外の車載機器の領域については実力以上のことをやってしまった。

 一方で、既存で安定的に成長できる、もしくは維持できると思っていた事業で痛みが出ている。私は「もぐらたたき」と言ってますが、もぐらをたたいたと思ったら、また別の問題が出てきよった、というところで。

 既存事業と一言で言っても、やはり、かなり成熟して右肩下がりの事業立地のものと、十分安定して右肩上がりで、徐々にでも良くなっていく部門とが混在しているというのが今の実力。もぐらが出てくる部分をいかに小さく抑えるかが重要です。もぐらが頻発するようなところは、別のパートナーを探して競争力の回復を図る。そういうことを絶えずやり続けています。