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 欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員が、GAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)の責任を追及しているのはEU競争法違反だけではない。課税逃れでもGAFAを追及しており、アップルとアイルランド政府には143億ユーロ(約1兆7400億円)の追徴課税を、ルクセンブルクとアマゾンにも追徴課税を命じている。こうした動きに関連し、欧州各国では巨大テック企業への課税を強化するために、デジタル課税を導入する動きがある。

 米国では2020年の大統領選の主な争点として、GAFA解体が浮上している。インタビューの前半、「“GAFAの天敵”の覚悟 『ネット神話を打ち破る』」で見たように、GAFAの責任追及の急先鋒(せんぽう)である欧州委員会のベステアー委員は、解体論をどのように捉えているのか。インタビューの後半では、欧州委が重視する環境政策など広範なテーマについて聞いた。

マルグレーテ・ベステアー氏
1968年デンマーク生まれ。93年、コペンハーゲン大学経済学修了。98年、デンマーク教育相。2007年デンマーク社会自由党党首。11年経済相。14年から欧州委員会の委員として競争政策の担当トップとして、GAFAに対する規制を強化する。19年12月に発足した欧州委の新体制では、候補に挙がった委員長には就任しなかったものの、デジタル政策の担当トップも加わり、上級副委員長に就いた。

あなたはEU競争法違反とは別に、課税逃れでもGAFAを追及しています。市場を席巻している国で納税せず、税率の低い国で一括して納税処理をしているのは不公平と判断しています。こうした追徴課税は今後も追及できると思いますか。

欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員(以下、ベステアー氏):できると思います。好むと好まざるとにかかわらず、彼ら(巨大テック企業)は税金を支払わなければなりません。

 巨大企業は、資本金や市場へのアクセス、スキルを持った人材の獲得など様々な面で優位に立っています。そんな彼らが社会とビジネスの場に貢献していないとしたら、いかがでしょうか。

 デジタル課税について、私はあらゆる手段の中で経済協力開発機構(OECD)の協定がベストだと考えています。欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、OECD協定を締結することができない場合には、欧州でも議題として取り上げるという確固たる意思を見せているのを非常にうれしく思っています。

 勢いを保つことは非常に重要です。欧州の国々が「先陣を切る」と言い出す気持ちも分かります。欧州で非常に優れたビジネスを展開している企業が、そのビジネスの場としている社会に貢献しない理由の説明がつきません。

19年にデジタル課税をいち早く導入したフランスの判断は正しかったと思いますか。

ベステアー氏:正しかったと思います。

欧州裁判所から19年9月に米スターバックスへの追徴課税の請求に対する差し戻しがありました。どのように捉えていますか。

ベステアー氏:追徴課税の体系に問題があり、差し戻しとなりました。裁判所は内容については何も言わず、「これではスキームと言えない」と言いました。

 フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とスターバックスへの追徴課税を巡る裁定では、FCAに対しては100%勝訴し、スターバックスについては引き分けでした。楽観的な見方かもしれませんが、私たちは最も重要な引き分けを勝ち取ったと思います。