欧州も世界をリードできる

 欧州は、いわゆるデジタル市民の権利に関してリーダーシップを発揮してきました。だが、それだけではありません。欧州企業のデジタル環境を見ると、世界に勝るソリューションがあります。だから、欧州に世界をリードするテクノロジーがないわけではなく、消費者の立場ではそう頻繁に目にしないということです。私たちは普段、ソーシャルメディアを見て、買い物の機会を狙っているだけなのですから。

 しかし、デジタルソリューションが製造業を変え、バリューチェーンによる関係性を変えるといったビジネスは、消費者からは見えません。この分野において、欧州企業が提供できるものはたくさんあります。

米国や中国を見るばかりでなく、欧州はもっと自信を持つ必要があるということでしょうか。

ベステアー氏:その通り。だから、「地政学的な委員会にする」とウルズラ・フォンデアライエン委員長が主張しているのをうれしく思っています。

 この言葉はまさに、欧州から世界に提供できるものがたくさんあることを言い表しています。私たちはこの土地を地球上で最も住みよい場所にしてきたし、世界80カ国にとっての貿易相手でもあります。米国や中国とは全く別物です。

 米国の貿易相手国は20カ国程度で、私たちよりだいぶ少ないと思います。欧州はこれまでに達成してきたことだけでなく、足元にある暗黙知を使って達成できることについても、もっと自覚すべきです。

 もちろん、私たちには伝統的な仕事もあり、それらを避けることはしません。文化的支援のほか、EUの結束を固めることに関して力を入れます。これは、連合である以上、非常に重要なことだと思います。しかし、近代化も必要です。研究や技術革新、若者、国境管理などに、もっと投資しなければなりません。そうでなければ、市民に私たちの働きを分かってもらえません。

(下:「GAFA解体に反対『1つの頭を切れば2倍になる』」は1月14日公開予定)

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