ソフトバンクについてはいずれ触れたい

シェアリングエコノミーについて、米ウーバーテクノロジーズは膨大なデータを取得しています。今後は調査の対象にはなるのでしょうか。

ベステアー氏:現在、ウーバーのケースは対象としていません。他にもいくつかのデータの扱いに由来するケースがあります。最近あったのはアマゾンのケースです。アマゾンが、すべてのベンダーからあらゆるデータを取得しています。個々の販売者は、自分の顧客に関する独自のデータをほとんど持っていない可能性があります。

 アマゾンがプラットフォーム上の全てのデータにアクセスできるという権力を悪用し、プラットフォーム上の個々の販売者との非競争的な行為をすることがないようにしなければなりません。

データの取得という点では、ソフトバンクの戦略はユニークです。ウーバーなど大量のデータを保有する企業に巨額出資し、大株主になっています。こうした事例は調査の対象になるのでしょうか。

ベステアー氏:今のところは分かりません。データの売買は全て私たちの規則の対象になるわけではありません。しかし、それにはまだ議論していないので、いずれ触れたいと思っています。

ドイツの自動車メーカーも調査

ドイツの自動車メーカーが排ガス浄化の技術競争を阻害しているとして、EU競争法違反が疑われています。現在はどのような手続きの状況にあるのでしょうか。

ベステアー氏:私たちは今、先入観にとらわれることなく自動車メーカーの話を聞いています。私たちが疑いを持っているのは、彼らが排ガス浄化に最適な技術を使用しているかどうかです。

 これは非常に興味深い案件です。なぜならばこれと同時に、彼らが安全性の課題に協力すれば、それが車の最高速度を上げるのと同じくらい魅力の向上につながると伝えているからです。誰もがそんな車を欲しがり、乗っていることを高く評価します。我々も便益を生むための協力は惜しみません。

 問題と見なすのは、消費者に利益をもたらさないことが分かったときです。このケースはまだ終わっていませんが、順調に進んでいます。いつ終わるかは分かりません。

あなたの主な役割の1つは、欧州をデジタル時代に適合させ、リーダーシップを発揮することです。欧州のデジタル化が遅れている理由は何でしょうか。

ベステアー氏:(滞っている)理由はたくさんありますが、そのいくつかははっきりしています。米国と中国のハイテク企業が大きく成長した理由の1つは、単一市場が欧州よりもうまく機能しているからです。また、中国にはさまざまな方言や地域があるものの、複数の言語には統一性があります。米国も同じで、3億2000万人の消費者へのアクセスは簡単です。

 そういった国内市場を持っていると、そこで多くの力を蓄えて、他の市場にも参入できるようになります。これが、単一市場を維持、開拓することの優先度が非常に高い理由です。

 ただ、単一市場があるからといって全てが順調だと考えるのは間違いです。単一市場は芝生のようなもの。維持しないと、あらゆる種類の雑草が入り込みます。突然イラクサが出てきたり、ベタベタするものが生えたり、注意していないと木だって生えます。

 手入れは週単位でやるべきものです。私たちが見聞きしている範囲では、どこだろうと貿易障壁は嫌がられ、外国のサプライヤーは国内のサプライヤーよりも時間がかかる。そうした類いのゲームです。単一市場の優先度は非常に高いのです。

 私たちが知っている単一市場と、その単一市場のデジタル側を融合して、1つの市場と考えられるようにすることも重要です。欧州委員会は、デジタル単一市場の消費者側への対応に専念しています。

 欧州のデジタル化を進めるためには3つの鍵があります。1つ目はデジタル単一市場において企業が機能することです。2つ目は、資本金へのアクセスです。多くの企業が資本金のために移転したり、買収されたりしています。企業が銀行だけでなく、投資家にもアクセスできなければなりません。

 そして3つ目はスキルです。現在、中小企業の25%が、スキルを持った人材を雇うことが主な懸念であると調査で答えています。2年前の10~15%から増加しました。適切な人材を獲得するうえで非常に厚い壁があります。

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