我々は鉄道料金を手ごろな価格にしたい

 もう1つが、超高速鉄道です。これは飛行機との競争がある分野です。市の中心街から他の市の中心街へ行く場合、例えばブリュッセル→パリやパリ→ボルドーであれば、電車で行くほうが飛行機よりもはるかに便利です。

 ここでも、私たちは超高速鉄道(の運賃)を手ごろな価格にしたいと考えています。そうでなければ、欧州の鉄道や超高速鉄道は進化せず、飛行機に乗る機会は減りません。鉄道のほうが飛行機よりもはるかに二酸化炭素(CO2)排出量が少ない利点があります。

 こうした課題は、一企業だけでは解決しようとしない、または解決できない問題です。ですので、私たちはこういう重要な理由があるために合併を進めることはできない、と説明しました。課題が解決されてさえいれば、問題はありません。

 企業同士が合併して巨大企業になることはできます。セメントや乳製品、ビールなどでは欧州から世界的な巨大企業が生まれています。合併ルールがあるからといって、巨大企業になれないわけではありません。要は、欧州市場でも引き続き競争にさらされることを受け入れるということです。

欧州委員会は独シーメンスと仏アルストムの鉄道事業の統合をEU競争法違反として却下した。 シーメンスのジョー・ケーザーCEOは<span class="textColRed"><a href="/atcl/gen/19/00045/052700004/?P=1">本誌インタビュー</a></span>でこの決定について真っ向から反論した  (写真:永川智子)
欧州委員会は独シーメンスと仏アルストムの鉄道事業の統合をEU競争法違反として却下した。 シーメンスのジョー・ケーザーCEOは本誌インタビューでこの決定について真っ向から反論した (写真:永川智子)

シーメンスとアルストムの事案後、競争ルールを改定するよう求める声が大きくなっています。最近、ベステアー委員はこの件に触れ、市場の定義方法といったテーマについても話しました。ルールブックを改定する場合の優先事項について教えてください。

ベステアー氏:恐らく、ルールが時代に適したものであるようにと念を押したのは私が初めてだったのではないでしょうか。私たちは多くの力を注いできました。ルールブックをチェックするのに3人の特別顧問がいましたし、公聴会も開きました。この規則が我々の目的に合っているか議論するために、ここブリュッセルで大規模な会議も開きました。

 こうした意見から、一般的な目から見ればこの規則は私たちの目的に沿うものであると考えています。本質的なルールは本質的な課題を解決できるのですから。

 重要なのは、私たちが市場をどのように定義するかをどうやって外の世界に説明するかに関する通達が、20年前のものだということです。20年前、我々は携帯電話を持っていたでしょうか。持っていても、恐らく非常にシンプルなものでしょう。タブレット端末のようなものはなく、オンラインストリーミングもない。この20年で、あらゆるものが変わってきました。

 だからこそ、この通達が、私たちの活動とどう一致しているかを伝えたいと思っています。今の通知を読んだら、私たちが世界市場を見据えていることに気付かないと思いますので。

 データが重要な役割を果たす合併が増えています。欧州委員会への委託があった米マイクロソフトと米リンクトインの合併がありました。米アップルと英シャザム・エンターテインメントの合併もありました。こうした合併が今後ますます増えると予想しており、また、ビジネスモデルが変わらないだろうとも推測しています。

 サービスの対価として、データを受け取るようになっているという事実があります。まず、今すべきことは完全にオープンな議論をすること。それも、法案をまとめたり、正式な公聴会を開いたりするよりも前に、です。私たちは政治的な意見だけでなく、競争コミュニティーからも意見を取り入れたいと思っています。

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