(GAFAを)恐れている、とは決して言わない

GAFAはとても強大な企業で、様々な影響力を持っています。「GAFAの天敵」と言われ、こうした巨大ハイテク企業と対立することに尻込みすることはないでしょうか。

ベステアー氏:それはありません。私が恐れるとすれば、家族や犬のことです。私の犬はもう11才半ですが、まだ元気いっぱいです。私は(GAFAを)恐れている、とは決して言いません。

 これはとても重要な観点です。私たちは誰もが投票できて、法に守られた社会に住んでいます。そして、私たちはそれを維持するために多くのことをしています。その生活を守ること自体が、とても重要な闘いでもあるのです。今の社会を当たり前と考えることもできません。それこそが重要なことなのです。

 私が非常に問題意識をかき立てられ、何かできないかと思うことがあります。それは、グーグルのアカウントやフェイスブックのアカウント、またはアップルのIDを使用し、様々なサービスにログインすることがどんどん一般的になっていることです。

 私は今の状態を望んでいません。自分のIDでログインできるようになってほしいのです。通常のパスポートを持っていれば、身分を証明するのに十分な情報を提供できるように整理されています。これがパスポートのそもそもの趣旨です。

 グーグルなど、いずれかの企業アカウントで身分を登録すると、彼らはあなたが何をしているのか、取れる限りの情報を集められるようになります。このことは、インターネットが非常に商業化された世界になったという事実の表れです。

 インターネットは、人々が互いに自由につながり合える、監視のない自由な開かれた社会を持つ方法であるという神話があります。ですが、この神話を打ち破る必要があります。

 神話では、インターネットこそがユートピアだった。それが私たちの夢でした。しかし今、私たちの手元にあるのは、巨大なモールのようなもの。人々が出会って交流するすてきなカフェはいくつかありますが、基本的には商業化された場所になっています。

 どうやって自分の身分を識別するかの問題は、そのことを非常によく表しています。人々はこうした状況を認識しなければなりません。さもなければ、人々は気がつかないまま常に情報を提供し続けることになります。

あなたはGAFA以外にも多くの事案でEU競争法違反と認定しています。独シーメンスと仏アルストムは鉄道事業を統合し、世界で闘う体制を作ろうとしていたが、ベステアーさんはEU競争法違反だと判断しました。世界と競ううえで、この種の欧州の巨人は必要だと思いますか。

ベステアー氏:我々の経験からすると、競争に参加して得られることの1つは成長です。誰かがあなたと競おうとしていれば、自身の技術を磨き、プロセスを改善し、コスト効率も高めようとするでしょう。とはいえ、入札への参加を妨げるルールはありません。欧州以外の契約に応札することも大歓迎です。

 シーメンスとアルストムの事業統合は、合併ルールが問題を引き起こしたのではありません。合併ルールとは無関係の理由で解決できなかった非常に特殊事例です。合併の大部分はうまくいっていたと思います。非常に重要な2つの事案についてのみ、うまくいきませんでした。

 本線の信号方式と超高速鉄道の2つに問題がありました。本線の信号方式については、既にほとんど競合がありません。世界中が欧州の信号方式とその規則を参考にしているため、非常に集中した市場であり、シーメンスとアルストムは既に世界的な巨大企業です。

 信号方式は重要な市場です。私たちには新しい欧州規格がある。より多くの列車が国境を越えてより多くの列車が走ることができるように、加盟国にこの規格に投資してほしいと考えています。それを多くの人が望んでいると思います。

 だから、加盟国が投資しやすいように手ごろな価格にしたい。これは、市場での競争があれば達成できるはずです。両社が事実上独占している状態では、こうはなりません。

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