勝者が事実上のルール決定者に

グーグルにはその他に2件のEU競争法違反を適用し、3件の合計で1兆円近い制裁金の支払いを命じています。グーグルへの対応からどんなことを学びましたか。また、将来の市場の中でグーグルをどのように位置付けていますか。

ベステアー氏:今の時点ではっきりと分かっているのは、3番目の要素、市場の修復に取り組む必要があるということです。この新たな市場ではその20~30%を争うのではなく、市場全体を支配するために競争することになります。

 そのため、勝者が事実上のルール決定者になります。民間のルール設定者であり、公的なルール設定者ではありません。民主的な考え方に基づく公共機関でもない。私的なルール設定になってしまいます。

 「公正な競争のルールを設定すれば、全てはうまくいくはず」という考えもありました。しかし、これまでの3件のグーグルの事例から、うまくは運ばないと分かってきました。彼らが設定したルールが最初にあったのです。

 だからこそ、ここでやるべきことがあります。(プラットフォーム上のランキングなどにおいて)ランク付けの理由と方法を知る権利があります。ランキングから外れた途端、サービスを見つけてもらえない状態を、どうすればいいのでしょうか。プラットフォーム上でビジネスをしている企業には、サービスを提供してくれているプラットフォーム側に問題を解決してもらう権利はありそうですが、これまではそうなっていません。

 だからこそ、グーグルのケースはプラットフォーマーが公正な競争に基づき機能するために、規制される必要があります。それが主な課題と感じている点です。規制に関する次の一手は、まだ決めていません。物事は変化しており、その都度、規制も必要になるのです。

独禁法の適用において、グーグルは常に一歩先を行っているのでしょうか。

ベステアー氏:例えば、アンドロイドの設定メニューをどう機能させるかについての基準がないのは、グーグルがユーザーに選択させることに関して世界で一番優れているからです。私たちは、そうした能力でグーグルにかなうとは全く思っていません。だからこそ、今後どのように効果を発揮していくのかは分かりません。

 「メカニズムが公平でない」あるいは、「このメニューを紹介するときに自社について言及する必要はない」と、私たちはいつでも言うことができます。しかし、設計の中にこそ彼らのコア・コンピテンスがあるため、私たちには分からない部分がたくさんあります。(グーグルが控訴しているため)裁判の決着がつくまで、市場に実際の変化が現れるとは思いません。裁判所が我々とグーグル、どちらが正しいかを検討している限り、目立った変化はないと思います。裁判所が決断を下したとき、2つの事案が決着します。皆さんはそのときになって初めて、何が問題になっていたのかを認識するはずです。

あなたはグーグルだけでなく、アップルやフェイスブック、アマゾンなどのGAFAにEU競争法違反の調査を進めています。そして、規制の動きは欧州から世界に広がっています。

ベステアー氏:グローバルな議論の変化を興味深く見ています。 私が欧州委員会の競争法担当になった5年前とは異なる議論が、今の米国では巻き起こっています。多くの人々は、市場が実際にどのように機能しているのかを心配しているのです。民主主義ではないものによって、物事のルールが決められるのは受け入れられません。

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