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 7月21日投開票の第25回参院選で、与党の自民、公明両党は改選過半数を上回る71議席を獲得した。ただ、非改選と合わせ、憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2には届かなかった。安倍晋三首相は9月に内閣改造・党役員人事を実施し、改憲などを見据えた陣を敷く構え。10月には消費税増税も控える中、企業経営者ら経済人は今回の結果についてどう受け止め、どんな政策を期待しているのか。

参院選で与党が改選過半数を上回る71議席を獲得しました。この結果をどう見ていますか。

ローソン竹増貞信社長(以下、竹増):雇用や賃金の改善を進めてきた安倍首相の政権運営がそれだけ国民に評価されていることが、改めて明らかになったのだと思います。消費増税をわずか2カ月あまり後に控えたこのタイミングでの選挙ですから、もっと波乱があってもおかしくありませんでしたが、選挙前に最低賃金の引き上げを公約や政府の骨太の方針に盛り込むなど、野党がリードするようなテーマでも付け入る隙を与えませんでした。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)氏
1969年大阪府生まれ。93年に三菱商事に入社し、牛肉輸入業務に携わる。社長秘書などを経て、2014年にローソン副社長に就任。16年6月から現職。(写真:菊池 一郎)

増税対策、消費者に分かりやすい制度が必要

消費増税が消費者心理に与えるインパクトをどう見ていますか。

竹増:当社グループの足元の経営数値を見る限り、価値あるものをきちんと提供すれば、消費者は以前よりも財布のひもを緩めてくれるようになっていると思います。成城石井やナチュラルローソンなど、商品単価が高めの業態でも、既存店売上高が伸びています。ローソンではデザートの売り上げが伸びています。お買い物の際に、自分へのご褒美に「もう1品」を買う家計や心の余裕が出てきた表れではないでしょうか。

 ただ消費増税は、こうした消費者の購買意欲に対して間違いなくアゲインストに働きます。政府は影響緩和のために軽減税率やキャッシュレス決済を対象にしたポイント還元などの施策を打ち出していますが、制度がやや複雑になっています。我々も店頭で伝える努力が必要ですが、消費者にとって分かりやすい制度である必要があると思います。来年は東京五輪、25年に大阪万博など、景気を後押しするイベントが予定されており、そこまで消費の勢いをつなげていくことが重要です。

そのために、安倍政権に最も期待することは何ですか。

竹増:いわゆる「老後2000万円不足問題」など、社会保障に対する国民の不安を取り除くことです。将来への不安が払拭できなければ、さらなる消費の回復は望めません。

 日本は人生100年時代に入りました。健康寿命を延ばすために生活を見直したり、リカレント教育(学び直し)でスキルを磨いたりして、生涯現役を目指す人が増えています。背景には、老後の生活に対する危機感があります。社会保障の改革は、税制とも密接に関連する難題です。しかしだからこそ、政権基盤が安定している今、正面から挑戦してもらいたいのです。