働き方を一律にルールで縛るべきではない

 その人がその人らしく生きていくことを多様性と呼ぶならば、働き方において一律にルールで縛ることは時代に逆行している。人には人生において数々のステージがある。経験を積みたい若いときは仕事に時間を割き、家庭を持ったら家族を大事にする働き方に変える柔軟な運用があってしかるべきだ。国はもっと企業を信頼してほしい。

 イチロー選手は並々ならぬ努力をしたからこそ世界中から優れた才能が集まってくるメジャーリーグでも長年活躍した。もし、イチロー選手が「1日の素振りは100回まで」と制限を受けていたら、グローバルで活躍する人材にはなっていないだろう。

金融庁が6月初めに公表した報告書をきっかけに「老後2000万円不足問題」が議論になりました。

:単なるコミュニケーションの問題だと捉えている。年金は皆が想定している以上にもらえる。だが、この問題の原因は発信主体が国であるという点だ。揚げ足を取られやすい問題だけに、すぐに炎上してしまう。

 そもそも社会保障制度は国だけの問題ではない。国民全体の問題でもある。互いに協力して相対すべきテーマだ。

データ時代の協業がしやすい環境づくりを

 国が持っているデータを仮にAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で民間企業が利用できるようにしてくれれば、我々は工夫しながらデータを活用し、ともによりよい国を目指すために努力できる。データ時代の新しい協働が進みやすい環境づくりを期待している。

 企業にとって「ビジョン」「ミッション」「バリュー」という3つの要素は極めて大事だ。特にベンチャーだとなおさら社員に対してこれらを示すことが重要になる。日本という国はこの先どのような国になりたいのか、日本人としてどのような価値観を大事にしていくのか。もう一度、ビジョンとミッションとバリューを再定義し、国をつくって行く必要があるだろう。

 国と企業が対峙するという考え方はもはや古い。目指すべき指針を共有し、国だけが問題解決に当たるのではなく、ともに解決を目指すオープンイノベーション的な考え方が今、求められている。

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