全2084文字
 7月21日投開票の第25回参院選で、与党の自民、公明両党は改選過半数を上回る71議席を獲得した。ただ、非改選と合わせ、憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2には届かなかった。安倍晋三首相は9月に内閣改造・党役員人事を実施し、改憲などを見据えた陣を敷く構え。10月には消費税増税も控える中、企業経営者ら経済人は今回の結果についてどう受け止め、どんな政策を期待しているのか。

参院選の結果をどう見ていますか?

マネーフォワード辻庸介社長CEO(以下、辻):参院選での与党勝利の背景にあるのは、結果を出し続けていることにある。特に実行力が評価されているのだろう。結果として株価は上がり、「ジャパンナッシング」や「ジャパンパッシング」と揶揄されていた時代と比べるとグローバルの中で一定の存在感を示すに至っている。参院選の結果は当然の結果と見ている。

辻 庸介(つじ・ようすけ)氏
1976年生まれ。京都大学農学部卒業。米ペンシルベニア大学ウォートン校修了。2001年ソニー入社。04年マネックス証券に出向、その後転籍する。12年にマネーフォワードを創業する。(写真:村田 和聡)

2012年に創業して東証マザーズ市場への上場は2017年。マネーフォワードは比較的若い会社ですが、スタートアップ業界から見て政府の施策はどう映っていますか。

:平成元年の頃の世界の時価総額ランキングを見ると、当時50位以内に日本企業は32社がランクインしていた。だが、現在では1社というのが現実だ。「GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)」といった米国のIT企業が上位を占めている。これはいったい何を意味しているのだろうかと考えることがある。

ヒト、モノ、カネの流動性が高まる政策が必要

 個人的な見解としてはこの30年近くで、ヒト、モノ、カネを成長率の高い領域にシフトできなかったことが理由だと考えている。経営資源の三大要素であるヒト、モノ、カネの流動性が低いまま、ここまで来てしまった。

 決して米国が素晴らしいと言っているわけではない。日本は極めてバランスが取れた国だ。だが、企業の新陳代謝の促進がどちらの国が進んでいるかといわれると一目瞭然だ。経営資源が成長領域にきちんとトランスファーされる、経営資源の流動性が高まる政策を期待している。

起業のハードルは2000年代初頭と比べ大きく下がりました。どこに大きな問題点があると考えているのでしょうか。

:働き方の多様性が認められていないという点だ。マネーフォワードは2012年創業の若い会社だ。集まってくる優秀な若手は、グローバルな競争下で勝ち抜ける能力や経験を身につけたくてマネーフォワードに飛び込んでくる。当然、我々もグローバルで戦っていける企業として成長を続けたいと考えている。

 だが、現状ではそれがかなわない。優秀な若い世代が思いっきり働きたい、成長したいと思っていても、それがかなわない国になっている。

 ライフ・ワーク・バランスはとても大事だ。過労死も決して許されることではない。だが、働くという点において「多様性」はどこにいったのだろうか。