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 2019年3月に成立したクラウドファンディングのプロジェクトに出資した500人超が、9月が来ることを心待ちにしている。出資者が待っているのはコニカミノルタが開発した「Monicia(モニシア)」だ。「月経前症候群(PMS)」と呼ばれる症状に悩む女性に向けた、小型のデバイスとスマホアプリを組み合わせた製品。コニカミノルタはクラウドファンディングの出資者に9月中に発送し、その後一般発売に乗り出す計画だ。

クラウドファンディングで製品化にこぎつけた「モニシア」

 「パートナーの協力がなければここまで来られなかった」。モニシアの開発プロジェクトを率いたコニカミノルタの江尻綾美インキュベーションリードは、京都大学やキューオーエル(長野県東御市)などとのオープンイノベーションが結実したと振り返る。

 PMSは、月経が始まる前の数日間に起こる身体や心の不調のこと。腰痛や肩こり、手足のむくみといった身体に出る症状も、イライラしたり自信がなくなったりなどの心に出る症状もある。日本医療政策機構の調査では、45%の女性が「PMSや月経に伴う症状によって、仕事のパフォーマンスが元気な状態のときの半分以下になる」と回答した。

 その症状改善の第一歩とされるのが、いつ、どんな症状がどの程度現れたのかを記録することだ。身体や心の不調のパターンが見えてくると、不調を受け入れやすくなり、対策も立てやすいからだ。

 「私は記録をつけることで助けられた。その記録の大切さを、自社の事業として展開できないかと考えた」(江尻氏)

 江尻氏は長年にわたり心の不調に悩んできた一人だ。「突然ひどく不安になったり、強烈な眠気に襲われたりしていた。医者に診てもらってもどこも悪くないと言われ、自分が思うように働けていないことに落ち込む日々だった」という。

 不調に悩む中で江尻氏が始めたのが、記録をつけることだった。働けなかった時間、服用した薬などを表に残し続けた。そこで初めて月経周期と不調のサイクルが重なっていることに気付き、婦人科を受診した。婦人科でPMSの症状と診断され、それに沿って治療を進めたことで症状が改善したという。

 PMSに悩む女性を助けるサービスをつくりたいと考えて動き出した江尻氏が2016年ごろに出会ったのが、京都大学大学院医学研究科の江川美保助教だ。PMSの症状改善のために体調記録の重要性を訴えてきた江川氏が、京都大学の産学連携プロジェクトの枠組みで協力できる企業を探しているタイミングだった。目的が一致する両者の連携は自然な流れだった。