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 梅雨真っただ中の7月3日午後。東京・品川にあるソニー本社のホールは、夏本番のような熱気に包まれていた。会場後方では飲み物が提供され、どことなく米シリコンバレーで開催されたイベントをほうふつとさせる。

「Sony Open Innovation Day 2019」の様子

 この日開催されていたのは「Sony Open Innovation Day 2019」。新規事業の創出を目指すスタートアップなどを対象にしたイベントだ。壇上にはソニーの担当者が上がり、同社が手掛けるスタートアップ創出支援プログラム「ソニー・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(SSAP)」を説明。ソニーが生み出した新規事業の開発者のトークセッションや、外部との開発が進む案件も紹介された。

 イベントの来場者は1000人を超え、その7割がスタートアップや大企業など外部からの参加者。イベントの責任者であるソニーStartup Acceleration部門の小田島伸至・副部門長は、「初の試みだったがなんとか成功できた」と安堵の表情を浮かべる。

新規事業創出の仕組みを外部に開放

 SSAPは、新規事業を生み出すソニーのノウハウを外部に提供するサービスだ。アイデア創りから事業計画の立案、マーケティング調査、商品の量産、事業運営、資金調達、販売までを一気通貫で支援する。サービスは有料で、事業計画の立案、量産支援のみといった具合に部分的に支援を受けることも可能だ。

 ソニーは2014年から、自社内で新規事業創出プログラム「シード・アクセラレーション・プログラム(SAP)」を展開してきた。5年間の取り組みで、腕時計のバンド部分に通信機能を埋め込んだスマートウオッチ「wena wrist(ウェナリスト)」や小型ロボットを自由自在に動かせる玩具「toio(トイオ)」など14の新規事業が誕生。大ヒットにこそつながっていないものの、新規事業の芽は育ってきたと言える。

ソニーの「SAP」から生まれた新規商品

 ソニーの小田島氏が、5年間にわたるSAPの活動で気づいたのが、「イノベーション創出はアイデアと人材に依存する」ということ。「優れた人材がアイデアを生み出し、意欲を持って行動しないとイノベーションは生まれない」と続ける。

 イノベーションのタネとなるアイデアを生み出す人材をいかに確保するか。「ソニー社内だけでは11万人に限られてしまう」(小田島氏)。ならば、自社にこだわらず外部に門戸を広げた方がいい。そこで18年から新規事業創出プログラムの外部への開放を本格化し、同年10月には第1弾として京セラとの連携を開始した。今年2月には名称を「SSAP」に変更し、オープンイノベーションを積極化している。