データセンターが諜報の標的に

中国が海底ケーブルにかかわると、何が問題になるのでしょうか。

ヒルマン:海底ケーブルの敷設や保守、運用の過程、あるいは陸揚げした中国国内で通信傍受の仕組みを組み込むことが可能です。19世紀半ば以降の大英帝国と同じ道を歩んでいるように見えます。

どういうことでしょう。

ヒルマン:当時の英国は海底ケーブルに関連する先端技術や敷設する船を独占的に握っていました。そのため英国は世界の海底ケーブルの大半を敷設、所有できました。電信の時代から国際通信に強い影響力を持っていたわけです。

 1914年に勃発した第1次世界大戦では、宣戦布告の翌日に英国はドイツにつながる海底ケーブルを5つ切りました。生き残った海底ケーブルは英国による通信傍受の対象となりました。

 民間の競争から始まった海底ケーブルの整備と運用は、ある時点から国家戦略の一部に組み込まれるようになります。

海底ケーブル以外で注目している通信設備はありますか。

ヒルマン:データセンターです。中国企業がかかわっているデータセンターからデータが中国当局に抜かれるリスクは否定できません。膨大なデータが集まるデータセンターを標的にすれば効率的に情報収集できます。同じ理由で海底ケーブルも通信傍受の対象になりやすいのです。

中国IT企業は各社とも当局の諜報活動に協力しないと主張しています。

ヒルマン:そのままうのみにするわけにはいきません。今は協力しないと言っているかもしれませんが、将来的な保証はどこにもありません。