中国IT業界の勢いを象徴するように、大手3社を指す「BAT(バイドゥ、アリババ集団、テンセント)」以外にも、様々な略称が生まれている。その1つが「BATH」だ。BATに華為技術(ファーウェイ)を加えた中国IT大手4社をまとめた呼び方である。トランプ米大統領は6月29日の米中首脳会談後に、BATHの一角であるファーウェイへの制裁措置を緩和すると表明した。これに対して与野党の双方から反対の声が上がる。米国はなぜ中国IT企業に警戒するのか。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のジョナサン・ヒルマン・ディレクターに聞いた。

(聞き手は吉野次郎)

「中国の5Gより海底ケーブルの方が危ない」と語るCSISのヒルマン氏
「中国の5Gより海底ケーブルの方が危ない」と語るCSISのヒルマン氏

米国にとってなぜ中国IT企業は脅威になるのでしょうか。

ジョナサン・ヒルマン氏(以下、ヒルマン):ファーウェイの次世代通信「5G」の機器が中国当局の諜報(ちょうほう)活動に利用される可能性があるなど、安全保障上の懸念を抱いています。5Gほど注目されていませんが、海底ケーブルを巡る動きにも注意が必要です。

アジアの海底ケーブル、過半数に中国関与

中国はどれぐらいの割合で世界の海底ケーブルに関与しているのでしょうか。

ヒルマン:中国資本が敷設や所有、または中国領土内に陸揚げする海底ケーブルの世界シェアは合わせて11%です。今後、敷設される計画の海底ケーブルでは24%に上ります。アジアに限ればその比率はさらに高まり、既設の海底ケーブルの30%に、今後敷設する計画の54%に中国は関与しています。

 関与する海底ケーブルが中国・香港・台湾の間に限られていたわずか10年前の状況から、様変わりしました。(編集部注:取材後の6月3日、中国通信大手の江蘇亨通光電がファーウェイの海底ケーブル事業を買収すると発表した。ヒルマン氏は「人民解放軍とつながりのある江蘇亨通光電に、米当局は警戒を強めるだろう」と分析する)

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