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 「千年の大計」「国家の大事」。中国政府がこう位置付ける壮大なプロジェクトが進行している。河北省の「雄安新区」と呼ばれる場所に、新たに副都心をつくり上げようとしているのだ。

 習近平国家主席が雄安新区の設立を宣言したのは2017年のことだ。それまで中国での同地へのイメージは、日中戦争での激戦地となった「白洋淀」と呼ばれる湿地帯があるという程度のものだった。それまでは畑が広がるばかりの田舎だったが、あれよあれよという間に自動運転車など最新鋭のIT機器が導入されたハイテク都市になっているのだという。

白洋淀は日中戦争の舞台として知られる

 中国が国家の威信をかけてゼロベースから作り上げる最先端都市とは、一体どのようなものか。実際に足を運んでみた。

 雄安新区は北京市と天津市から約110kmの位置にある。北京から高速鉄道を利用する人が多いが、まだアクセスはイマイチだ。直通の列車に乗れば「北京南」駅から「白洋淀」駅まで1時間半程度で着く。ただし、その列車は1日2本しかなく、それに乗れない場合は途中駅で乗り換えに数時間待たされる羽目になるケースもある。

広大な駅前広場が整備された白洋淀駅

 白洋淀駅からはタクシーなどに乗り、町から約3km離れた駐車場に行く。そこからは電動シャトルバスで中心地まで移動することになる。雄安新区は公共交通と自動運転車しか想定していない。そのため、一般車両は入れないのだ。

 シャトルバスに揺られてしばらくすると現れてくるのが、総建築面積約10万㎡の「市民服務中心(市民サービスセンター)」だ。行政サービス、会議、商業施設などの低層ビルが並んでいる。