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GAFAではなく、GAFと呼んでほしい

 アップルが開示したデータの中身にも触れておこう。

 記者はアップルのハードユーザーだ。会社から貸与されているものも含めiPhoneを3台、ノートパソコンは2台、タブレット端末とアップルウオッチをそれぞれ1台ずつ保有している。

 利用状況から考えると開示されたデータは非常に小さい。わずか7.3メガバイトで、フェイスブックの5分の1以下だった。内容はクラウドサービスへのログイン履歴や、ダウンロードしたアプリの内容、サポートセンターでのやりとりの内容など。記者が取得されていることを想定していないようなデータはなかった。

 アップルの広報担当者は「顧客サービスに必要のないデータは極力保有しない方針をとっている」と説明する。記者のiPhoneに入っている多種のアプリを通して取得されるデータも、保有しているのはアプリの提供会社。アップル自身が提供している写真管理アプリや、アップルウオッチで取得される移動データも「全て個人情報と結びつかない仮名化された状態で保持している」(広報担当者)という。

 そのため、アップルはGAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)という呼称をこころよく思っていないようだ。先日、総務省で開かれたプラットフォーマーのビジネスモデルに関する検討会では、担当者が「GAFAではなくGAFと呼んでください」と訴えた。

 ただし、たとえ情報を蓄積していないとしても、アップルが端末やアプリの販売システムを通じて情報のハブとなっていることは間違いない。連載第1回で説明した広告IDのシステムも、アップルはアプリ開発会社に提供している。

 アップルはIDによるデータの収集を消費者が止められる「オプトアウト」と呼ばれる仕組みも持つ。アップルは情報の流通を進めるシステムをつくりつつ、消費者にその手綱を握るように促しているわけだ。ただ、手綱だけを準備しても、ユーザーが実際に使いこなせるかは別問題。「ユーザーがデータを守るには、ユーザー本人のデータリテラシーを上げることが最も重要」(個人情報保護委員会の関係者)だ。

 アップルのような情報のハブとなる企業はそのリテラシーの向上に積極的に関わることが求められる立場にある。そんな企業がプライバシーの問題でユーザーと接する窓口において、言語対応が不十分なままでは、データが適正に流通する未来はやってこない。