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 「全ての個人情報を開示してほしい」という請求に対し、対応不備を素直に謝罪した会社もある。ヤフーとアップルだ。

 両社は個人情報開示請求への対策不足を認めた。その背景にある課題は、プラットフォーマーというビジネスモデルを考察する上で、重要な示唆を含む。

 記者からの全個人情報の開示請求に対し、当初最も消極的な対応だったのがヤフーだった。カスタマーサービスからの最初の返答はこうだ。

 「裁判所および警察などの公的機関から法律に基づく正式な照会を受けた場合に限り、必要に応じて情報の開示を行っております」

(写真=Bloomberg / Getty Images)

 これは明らかな個人情報保護法の誤解釈だ。公的機関からの照会にしか応じてはいけないのは、本人以外の第三者からの開示請求がきた場合で、ユーザー本人からの開示請求は、同法で認められた権利だ。

「案内に誤り」、記者に謝罪

 このことを指摘して再度開示を求めたが、「再度同じご連絡をいただいた場合でも、同様の返答となります」とメールが返ってきた。

 この時点で、ヤフーの広報担当者に開示調査をかけていたことを明かし、コメントを求めた。すると4日後、カスタマーサービスの担当者から「弊社のご案内に至らない点があり、お客様にご迷惑をおかけいたしました」という言葉とともに、開示請求の方法の詳細が送られてきた。

 しかし、結局ヤフーは全情報の開示には応じなかった。「全ての個人情報の開示は承りかねます。必要な開示対象をご指定いただきたく存じます」。前回の記事で解説した楽天やLINEと同じく、開示対象を限定するよう求めてきたのだ。

 ただし、楽天とLINEが開示に応じない法的根拠を明かさなかったのに対し、ヤフーはその根拠を明確にした。

 開示請求の権利を定めた個人情報保護法第28条には、開示を拒否できる3つの例外規定がある。①開示が誰かの生命、身体、財産などを侵害する可能性がある場合、②他の法令に違反することになる場合③、事業者の業務に著しい支障を及ぼすおそれがある場合だ。ヤフーは3つ目の「著しい支障」を開示に応じることができない理由とした。

 ヤフーは、業務負担の面から考えて開示可能な情報として、各サービスの利用履歴や検索履歴、ポイントの利用履歴、表示された広告のクリック履歴などを提示した。期間は直近120日~1年に限定されるという。