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「適法」と主張続けるLINE

 LINEにも、前半の調査で全情報の開示を拒否した理由を改めて広報担当者に尋ねた。回答は「拒否したという事実はございません」。

(写真=Bloomberg/Getty Images)

 LINEの前半の調査における回答はこうだった。「お客さまより(開示するデータを特定する)情報についてご提供頂けないことから、お手続きを進めることができません」。やはりこれも拒否ではないというのだろうか。記者からの直接取材の要請を断ったことも含め、楽天と全く同じ対応だ。

 しかし、この後の対応は楽天と異なる。LINEは前半の調査と変わらず、開示する情報を指定するよう記者に求め続けた。しかも、ガイドライン改正を受けてもなお、「個人情報保護法に照らして、違反するものではない」と今までの対応が正しいと主張した。

「既に対応したので、もう開示はしない」

 しかし、前半の調査で開示を拒む根拠となったガイドラインの条文はもうない。一体何を法的根拠にしているのか。尋ねても返信は「ご回答させていただいているとおり」だった。「ご了承のほど、よろしくお願いいたします」とメールは締めくくられていたが、何を了承していいのか分からない。繰り返し、開示を拒否する法的根拠を示すよう求めたところ「先般の開示において、弊社内のお客さまの全データを調査するという目的は一旦、達成されたものと弊社としては認識しております」という見解を出して開示を断った。

 この見解には4つの疑問がある。第1に、LINEは全情報の開示という記者の要求に応じていない。第2に、記者の目的が達成されたかの評価を、なぜLINEが勝手に下すのかが分からない。第3に、同じ情報を複数回、開示請求してはならないという制約をする権利がなぜLINEにあるのか、根拠が不明だ。第4に、万が一同じ情報の開示を請求することは慎むべきだという理論が成立するとしても、前半の調査の請求から既に3カ月が経過している以上、開示内容が全く同じになることはあり得ない。

 その後も、拒否を続ける法的根拠を示すことを求める記者に対し、LINEは同じ回答を繰り返す。12月20日、ようやくLINEが譲歩する。前半の調査で「法的義務がない」として開示を拒否した、LINEの提供するサービスの一覧リストを今度は開示すると約束。そのリストから開示対象とするサービスを記者が指定した上で「再度お客さまの開示請求に対応する」と回答してきたのだ。

 記者が求めているのはあくまで全ての情報。全情報の入手のためには、サービスの一覧リストを示されても「リストに載っている全てのサービスのデータを開示してください」というほかない。記者が使っていないサービスのデータベースにも、LINEの外部から情報が共有されている可能性を否定できないからだ。そのため、サービスの一覧リストを示すという行為自体にほぼ意味はないのだが、小さな一歩前進ではある。

 しかし、この約束すらも、原稿執筆時点では果たされていない。サービスの一覧リストを開示する作業に、約1カ月間もの期間がかかるとLINEは指定してきた。そして、自ら示したその期間を2ヶ月以上過ぎてもリストの開示は実施されなかった。期限が過ぎたことへの謝罪や説明もなかった。

 個人情報保護法のガイドラインの改正に至ったことは、記者1人で細々と続けてきた調査にしては望外の成果だった。ただし、楽天とLINEという巨大プラットフォーマーのプライバシー軽視の姿勢が改まるには至らなかった。