今年2月に創業120周年を迎えた大衆薬大手のロート製薬も、外部の人材やノウハウを積極的に活用することで成長を続けてきた。

 花王や資生堂など並み居る大手がしのぎを削る化粧品市場に00年代、後発として参入し、機能性を重視したスキンケア商品で市場に浸透した。04年にヒット商品になったスキンケアブランド「肌研(ハダラボ)」は、中途採用の若手社員の手によるものだった。「オープンイノベーション」という言葉が広がる前から、ベンチャー企業や大学などの研究機関と連携し、新しい機能を持つ商品を世に送り出してきた。

 山田邦雄会長兼社長はトップマネジメントの人事で創業家以外の人材を積極的に登用する。18年に前社長の吉野俊昭氏が死去し、現在は山田会長が社長を兼任している。6月下旬の株主総会を経て社長の座を退き、会長職に専念する。後継社長には、大衆薬大手武田コンシューマーヘルスケアの社長を務めた経験を持つ杉本雅史氏が就く。社外取締役としてファミリービジネスに造詣が深い早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授も迎え入れる。

ロート製薬の山田邦雄会長兼社長は、外部の力を柔軟に活用する(写真=稲垣 純也)
ロート製薬の山田邦雄会長兼社長は、外部の力を柔軟に活用する(写真=稲垣 純也)

 山田会長はこう話す。「ファミリービジネスの利点は、長期目線やオーナーシップに基づいて周囲が難色を示すような経営判断でも、えいやと踏み切れることだ。ただし、創業家のトップだけで会社をぐいぐい引っ張っていこうという考え方に縛られてはならない。経営環境に応じて、自分に足りない能力や視点を持つリーダーを外部から採用することも重要だ」

 経営環境の変化は速く、新興国を含めた技術開発競争も激しくなる。ライバル企業の元トップなど、多様なバックグラウンドを持つ外部人材を柔軟に受け入れることで高度な経営のかじ取りを可能にし、次の成長を目指すという。

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