電子部品大手の村田製作所の収益力に磨きがかかっている。2019年3月期の売上高営業利益率は16.9%。10%に届かない京セラやTDKなどライバルを圧倒する。なぜ、村田製作所は断トツの収益力を誇れるのか。車載用コンデンサーの主力工場を見てみた。

 「ここは撮影してもいいですか?」

 「いや~、ダメですね」

 「では、ここは?」

 「ここもちょっと……」 

 2019年4月下旬。村田製作所の製造子会社である出雲村田製作所(島根県出雲市)を訪れて面食らった。製造風景を撮影しようにも、撮影NGの工程ばかりなのだ。

車載向けの積層セラミックコンデンサーを製造する出雲村田製作所
車載向けの積層セラミックコンデンサーを製造する出雲村田製作所

 この工場で作られているのは積層セラミックコンデンサーと呼ばれる部品。コンデンサーは電気を一時的に蓄え、電流の安定化やノイズを除去する役割を果たす。高級スマートフォンでは約1000個、EV(電気自動車)では約1万個使われている。村田製作所の連結売上高の36.5%(2019年3月期)を占める主力商品だ。

 出雲村田製作所では中でも車載向けの積層セラミックコンデンサーの生産を担当している。クルマ業界は現在、「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる変革の真っただ中で、コンデンサーの需要が急拡大している。旺盛な需要に応えるべく、出雲村田では2019年11月に新生産棟が竣工予定だ。

 積層セラミックコンデンサーの生産工程は多岐にわたる。まず、①誘電体と呼ばれる電気を蓄える性質を持つセラミックス原料を合成する。次に②溶媒に溶かしたシート状に形成、③誘電体シートに内部電極となる金属ペーストを塗布、④誘電体シートを数百層積み重ね(積層)、⑤圧力をかけて一体化(プレス)していく。その後、⑥積み重ねたシートをチップサイズ(例えば0.6mm×0.3mm)に分断(カット)、⑦セラミックスとして焼き固める(焼成)。⑧焼成後のチップの両面に外部電極となる金属ペーストを塗布、⑨メッキ加工する。最後に⑩電気的な特性や外観が検査され、完成するという流れだ。

 ①の工程は、村田製作所の八日市事業所(滋賀県東近江市)で手掛けており、出雲村田製作所では②以降の工程となる。複数の工程にまたがるが、撮影が許されたのは⑩の検査工程のみ。製造にかかわる工程は一切撮影できなかった。

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