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(写真:稲垣純也)

実際にAIはどの程度、医療現場に浸透しているのでしょうか

沖山氏:現場レベルで言うと、特に日本ではAIがすみずみまで浸透しているわけではありません。極めてまれなケースでしか、AIと一般患者の接点はないです。どちらかと言うと、医師とAIの接点が増えて、医師が有用性を実感している段階です。AIと一般患者の接点はもうちょっと先、1~2年後ぐらいじゃないでしょうか。

 ではその時に、AIが何か問題を起こす可能性があるのか―。それはまずありえません。なぜなら、医療機器は厚生労働省が承認するまでは使えないからです。医師がなにか悪用できるAIというのは、そもそも世の中に出られないような制度がすでに出来上がっています。

医療AIが学習をして成長していく中で、医療機関ごとにAIの能力に格差が生まれることはないですか

沖山氏:現段階では持続的に成長するAIというのは、承認できないことになっているんですね。つまり成長後のAIをフリーズ(凍結)した状態で世の中に出す仕組みになっているんです。なので格差は生まれない。

 でもそれだけではやはり救えない病気もあるので、どうやって学習させるのかという点も検討しながら、持続的に成長するAIを承認していくのがこれからのパラダイムです。米国では動き始めているので、日本でも5年以内にはそうなるのではないかと思っています。具体的にはまずクラウド経由で成長するので結局、どのAIも同じ性能になるというやり方が1つあると思います。

 もう1つはカスタマイズ。病院によって性能が変わるというのはありだと思います。医療の世界に完全上位互換はないので、東大病院のAIがほかの病院より完全に優れているということにはならない。ただの風邪で大学病院にかかることはないので、受診する層が偏っている。東大病院のAIだといってありがたがっても、一般の病院で使おうとするとめちゃめちゃ性能が悪くなるわけです。そこはすみ分けになるんだと思います。