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5Gでも“普及機”の開発を支援する

5G時代に向けた市場シェアなどの目標は。

陳氏:具体的な目標は開示していませんが、2019年は5G元年であり、2020年にはさらに普及することが確実です。メディアテック は最も競争力のある製品を用意して、2020年以降にくる大きなビジネスチャンスをつかむつもりです。

具体的にはどのように競争力を高めるのでしょうか。

陳氏:過去2年間、メディアテック は高度な技術を用いて消費者に良い経験をもたらすことに注力してきました。例えばAPUを例にとってお話ししましょう。写真を撮るのに難しいのは、夜景や対象物が動いているシーンなどを撮影する場合ですよね。

 APUの処理性能を高めることは大事ですが、それだけでは十分とは言えません。微弱な光や動いている物体などを認識する適切な処理と組み合わせることで初めて画質を高めることができます。当社 はこうしたアルゴリズムやノイズ低減処理を組み合わせて、よりきれいな写真を撮れるようにしています。

 5Gに向けてはこの数年で開発人員を数千人に増やしました。2200億台湾ドル(8000億円)以上の開発資金を投じて、米国、欧州、台湾など世界中で20を超える拠点で開発を進めています。

メディアテック がスマホメーカーに供給するSoCは、どちらかというと費用対効果の高い製品に強みがあるとされています。5G時代にはハイエンド製品のシェア拡大を狙うのでしょうか。

陳氏:メディアテックは4G向け製品でも前述のP90のように非常に優れたものを用意しています。もちろん5G時代にも、より多くの顧客にサービスを提供したいと考えています。

5G対応チップの調達に苦戦する米アップルと5Gチップに関する交渉をしているとの報道があります。

陳氏:顧客の問題についてはコメントできません。

華為技術(ファーウェイ)も5Gチップを開発しています。こうした競合の動きについてはどうみていますか。

陳氏:メディアテックは良いチップを作り、顧客に使ってもらえるように努力するだけです。5G時代になってもこの原則は変わりません。

日本の中では世界に比べて5G競争で後れを取るのではないかという危機感があります。世界における5Gの導入についてどのように分析していますか。

陳氏:5G技術は非常に複雑です。国ごとに「sub-6」と呼ばれる低周波数帯を使うところや(28GHz帯など)ミリ波と呼ばれる高周波数帯を利用するところなど、様々なケースや組み合わせがあります。どの先進国も5Gの導入に積極的ですが、その中でも中国と米国が先行していると言えると思います。

日経ビジネス特集「5Gインパクト」(4月15日号)記事もご覧ください