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 ファミコン(任天堂のファミリーコンピューター)が登場してからの進化は映画と一緒です。ゲームセンターに行く必要がなくなり、家庭でも楽しめるようになった。テレビと同じです。今来ているのがストリーミングです。映画からテレビ、ストリーミングという流れと同じですよ。

 5Gの商用サービスが始まる今のタイミングで、米グーグルはクラウドゲームのサービスを発表しましたし、アップルもゲーム配信を強化します。クラウド化はゲーム操作による画面の1フレームをサーバーで画像処理して個人に届けます。専用のゲーム機はなくなり、受け皿はスマホでもタブレットでもパソコンでも何でもよくなります。

 クラウドゲームは5~6年前にブームの兆しがありましたが、爆発的なヒットに至りませんでしたね。失敗という声もありますが、私はそうは思いません。水面下でテクノロジーは進んでいたわけです。4Gでは実現は難しいですが、5Gが始まって5年以内には、エンタメ自体がガラリと変わると思います。これまでよりもっと自由な世界がやってくるでしょう。

グーグルのクラウドゲーム参入で専用ゲーム機がなくなるという意見がありますが、そのインパクトはコンテンツにまで波及すると?

 これまでにないようなゲームが確実に出てきます。それはエンタメ業界の歴史からも明らかです。例えば映画の約2時間という平均的な上映時間は、映画館だからこそ必要でした。ポップコーンも売る必要があるし、3時間以上だと疲れてトイレにも行きたくなる。長時間の映画だと、1日の上映回数が少なくなり収益的に厳しくなるからです。

 テレビの時代になると映画の手法は通用しなくなりました。テレビはチャンネルを変えられるので、冒頭に「つかみ」が求められます。もしくはCM前に「クリフハンガー」のようなインパクトのある映像を埋め込まないと、チャンネルを変えられてしまいます。

新たな技術がコンテンツを進化させた

 音楽だってそう。レコード時代のLP(アルバム)は針を落とすのを失敗すると傷が付くので曲の頭出しが難しく、アルバム1枚を通しで聴き続けるユーザーが多かった。A面、B面の構成は、こうした制約の中で決まっていきました。A面の1曲目と最後にはシングルカットできるようなキャッチーな曲を配置。一方のB面は、遊べるというか、1曲20分の曲などある意味でアーティストたちが冒険できました。

 でもCDが登場すると、ボタン操作1つで曲を飛ばせるようになりました。イントロが5分あるような曲は受け入れられにくくなった。サビなどキャッチーなメロディーを冒頭に入れる曲が増えたわけです。ストリーミングの時代になると、1曲売りになったので、すべてが本気の曲です。かつてのような冒険はできなくなってしまいました。

 映像では、ネットフリックスなどでは1話の長さが10分という作品が出てきました。そうなると続きを見てもらうために最後の1分で盛り上がる面白いシーンが入るようになります。テレビドラマと違って1シーズンの全話を続けて一気に配信することだってできる。テレビドラマのように1週間待つことを想定した作品とは、作り方が変わってきます。

これまでもテクノロジーの進化と共にコンテンツの姿は変わってきたということですね。

 クリエーターは気付かぬうちに作り方を変えているんですよ。コンテンツは、クリエーターのやりたいことと、テクノロジーでできることの両輪で進化していきますので、進化を止めることはまずできないですね。