課題を発見し、みんなと協働して解決策を見出す授業へ

 学校にICT教育を導入する意義は、大きく3つある。1つは授業の「効率性」を高めることだ。動画を表示したり、意見を集約したりする時間が短縮できるため、余った時間を他の活動にあてることができる。近年は、課題発見解決力や、学んだことを社会と結びつけて考える力が重視されるようになっている。

埼玉県戸田市立戸田第二小学校 主幹教諭<br>狗飼 英典先生
埼玉県戸田市立戸田第二小学校 主幹教諭
狗飼 英典先生

 「本校では、教科の枠を越えた創造性を育む教育を目指しています。身近な生活の中から課題を見出し、課題解決に向けて、教科等で学んだことを活用するとともに、思いを実現させるために地域や企業と連携した教育へのシフトです。さらに、ICT機器を活用することで、こうした資質・能力の育成のための教科等横断的な新しい教育観に沿った取り組みにも広がりと厚みが増してきました」と、戸田第二小の狗飼英典先生は話す。

 2つ目は、授業の「質的な変化」を促すことだ。タブレットを使えば、これまで手を上げられなかった子どもも、授業に意欲的に参加することができるほか、集団授業のなかで個別指導もできるからだ。

 「子どもたちの机を回る指導の必要はなくなりました。今、どの子が、どこでつまずいているかが瞬時に把握できるからです。少し考え違いをしている子どもには、個別に適切なアドバイスを送っています」(狗飼先生)

 子どもたちの授業への参加が主体的になり、学習者主体の授業が行われるようになると、先生のあり方も変わる。

 「これからの先生は、Teacherの役割だけでなく、TrainerやTutor、Coach、Facilitatorといった様々な役割を担うことになります。しかし、それは具体的な授業を通して理解していくしかありません。現在、ICTサポータの支援を受けながら、先生たちの理解を高めているところです」(小髙校長)

 3つ目は、学習履歴が残ることだ。ICT機器を使えば、子どもの反応がすべて蓄積、子どもの変容の過程も克明に記録され、次の授業の改善に生かしていくことができる。

 「先生用の支援ソフトを使ったり、ICTサポータの支援を受けたりすることで、先生は『授業力』を高めることができます。どの先生も平均的な『授業力』が持てるようになることもICT教育のメリットだと思います」(狗飼先生)

学校の先生たちが思い描く理想の授業に寄り添う

 ICTサポータの支援もあり、戸田第二小の子どもたちは楽しみながら授業を受けている。先生も変化してきた。特に、指導経験の乏しい若い先生に顕著だという。ICTサポータが、発問の工夫も含めて様々な観点から授業づくりをサポートしていることも大きい。

 「その学校の年間行事予定や、各学年・各教科の年間授業計画の流れはだいたい把握しており、どの単元のどこがつまずきやすいかもわかっています。そのため、これまで蓄積した知見や事例などを前もって紹介しながら、ねらいを実現できる授業づくりをサポートしています」(窪支援員)

 これまで戸田第二小では、タブレットを用いたICT教育を、主に「思考の共有ツール」「プレゼンテーション」ツールとして活用してきた。小髙校長は今後の方向性について、次のように抱負を語る。

 「基礎学力はタブレットで学び、学校の授業ではよりクリエイティブなことを学ぶような『学びの最適化』や、学習履歴をベースとした『学びの評価』にも使いたいと考えています。さらには、学校に来られない子どもや、地方の学校と結んだ『遠隔授業』などにも取り組めればと考えています」(小髙校長)

 産学官民連携でICT教育を導入したことで、民間の知が学校に入ってきたことも歓迎されている。

 「本校では、教育は『共創』と考えています。ICT教育をきっかけとして、教員だけではなく、ベネッセの教育ソフトや教材をはじめ、民間企業などが蓄積している様々なリソースを使いながら、社会全体で子どもたちを育てていくことが重要だと思っています」(狗飼先生)

 こうした学校現場の思いに、ICTサポータはどのように応えようとしているのか。窪さんは現在、ICTサポータの「教育マイスター」として、各地のICTサポータの定例会を回り、より良い支援のあり方を説いて回る役目も担う。

 「最初は、当てられたら嫌だなという雰囲気に包まれていた授業が、全員が自分の考えたことを伝えたい思いであふれている授業に変わっていくのを見ると、先生方の教育力の進化に驚くと同時に、子どもたちの未来の学びに貢献できた喜びを強く感じます。今後は、全国のICTサポータのレベルアップにも積極的に取り組んでいきたいと思います」(窪支援員)

 ベネッセのICTサポート事業は、学校のニーズに合わせて変化しており、ICT教育の効果の測定や、学校を超えた地域の教育力の向上などにも、支援の輪を広げていこうとしている。

 ICT教育が広まれば、子どもたち1人ひとりの能力や資質に応じた教材提示や、自宅学習と集団授業の効果的な融合などの、学校教育全体のデザインについても、支援が可能になると小柳副部長は考えている。

 「ICTサポートの原点は、先生方が思い描く理想の授業づくりの実現に向けた支援であり、それは今後も変わることはありません。これまでの知見を生かして、子どもたちがより良く生きられるように、先生方を支援していきたいと考えています」(小柳副部長)

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