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提供:ベネッセコーポレーション

2020年度からの新学習指導要領で重視される「主体的・対話的で深い学び」の実現には授業方法の転換が必要。その手段の1つがICT教育で、効果的な授業づくりに向けベネッセでは学校の先生の支援を行っている。

子どもたちが自ら学んでいくのに最適なICT教育

 ICTの浸透によって、社会が大きく変わりつつある。知識の量ではコンピュータにはかなわないし、単純労働や単に知識を応用するだけの仕事も、どんどんロボットやAIに置き換わっていくと言われる。

 こうした社会で生きる子どもたちには、正解がない課題へ取り組んだり、新しい価値を創造したりしていくことが求められている。だからこそ「主体的・対話的で深い学び」が求められているわけだ。

 「未来社会を生きる子どもたちには、先生から教えられるだけではなく、自分たちで学びとっていくような授業を行っていく必要があります。それには、ツールとしてのICT教育が最適なのです」と語るのは、埼玉県戸田市立第二小学校の小髙美惠子校長だ。

埼玉県戸田市立戸田第二小学校校長 小髙 美惠子先生

 学校教育には、これまで個人に蓄積されてきた実践知・暗黙知・経験知を、誰もが使えるような形式知に転換していくことが求められている。戸田市教育委員会では、ICTこそその転換に最も相応しいと考え、「産官学民連携」によるICT教育の浸透に力を注いでいる。戸田第二小は、その先端を走る。

 ベネッセのICTサポート事業は、2000年頃から学校のICT化を支援する形で展開してきた。最初は、パソコンの使い方などのリテラシー支援がメインだったが、現在では、タブレットを利用したICT教育の授業支援へと大きく舵を切っている。

右から株式会社ベネッセコーポレーション 教育支援開発部 副部長 小柳 博崇氏
同部ICTサポータ 窪 美穂氏

 「パソコンやタブレットを使って子どもたちが自分で学びとっていくような授業では、先生は、教え込むのではなく、子どもに学んでほしい方向へとうまくリードしていく役割が求められます。こうした授業スタイルへの転換を支援しているのがICTサポータです」と、ベネッセの教育支援開発部の小柳博崇副部長は説明する。

 ICTサポータは、自治体(教育委員会)との契約に基づいて活動するが、ベネッセが採用・育成し、「ICT支援員」として、公立小中学校に定期的に派遣する形をとる。

 現在、ベネッセのICTサポータは600人以上おり、全国約3,000校以上に派遣されている。戸田第二小へのICTサポータの派遣は月2回だ。

授業づくりの支援を行うICTサポータ

 具体的にはどんな活動をしているのか。2004年にICTサポータとなり、2018年度から戸田市教委の「ICT支援員」として戸田第二小を担当する窪美穂さんは次のように語る。

 「私たちに求められる役割は、先生方が授業をより良くするための工夫を提案することです。先生方は、ICTを使う重要性とメリットを実感されており、授業にそれをどう反映させていけばいいのか、常に試行錯誤していらっしゃいます。そうした授業づくりをサポートするのです」(窪支援員)

 先生方からの具体的な要望は、子どもたちが授業で学ぶ単元をより深く理解できるコンテンツの有無や、授業の進め方に関するアドバイスなどだ。

 ICTが導入されると、従来の授業の進め方とは違う工夫が求められる。たとえば、先生からの質問に手をあげて答えなくても、タブレットに入力すれば子どもたち全員の意見を一度に集約できる。だから、全員の意見を把握した上で、次のステップに進んだりすることができる。そうした授業の進め方に関するアイデアの提供が、ICTサポータに求められているのだ。

 「先生方にはまず、授業のねらいをお聞きします。ご提案できるものが明確になり、先生方が授業の内容をどんどん深化させていかれることにつながるからです。先生方が目指す理想的な授業デザインを実現するために必要なご支援を行っています」(窪支援員)

 全国のICTサポータから上がってきた授業の工夫事例や成功事例などは、共有できる仕組みがある。そのため、どの学年のどの教科に関する要望であっても、ほとんど応ずることができる。1人の支援員の後ろに600人の仲間の事例が積みあがっているのは、ICTサポータの大きな強みといえる。