「マジ神AI」で世界中の介護の質を上げていきたい

宮下:2021年4月から私がデータサイエンティストとして取り組んでいるのは、まずデータを可視化し、ご入居者の現状を正確に知ることです。次に、すごく大声を出されるとか、ケアの拒否があるとか、その方にとってネガティブな状況の要因となる体調面の課題を特定します。例えば、よく眠れていないとか排泄量が少ないとか。そこにAIや機械学習といった技術を使っており、ここまでは道筋が見えてきています。課題はその先で、「その方らしさ、QOL」といった一人ひとり違うものを判断し、改善方針を導くことが厳しい。一人ひとり違うQOLはビッグデータとは対極にあるものですし、幸せ度や感情の判定は、高度なセンサーを使っても一筋縄ではいきません。ネガティブを取り除く方法は皆似ていますが、ポジティブを実現する方法はそれぞれ違う。そこがこの取り組みの難しさです。

 ただ、第1ステップの可視化だけでも価値があります。介護は人対人の仕事なので、自分がやったことの正誤を判定するのは困難です。でも、そこにセンシングやDXが入ってくることで、「やっていることは定量的に大丈夫」あるいは逆に「軌道修正しないとダメ」ということがしっかり見えるようになりました。システムが人を助ける方向性ですよね。ですから次は、人間の判断や気づきを、今まで以上にシステムに還元していきたいですね。人とテクノロジーが両輪で育つ仕組みをつくれるといいな、と思っています。

枝松:「マジ神AI」を使うことによって、誰もが相手の気持ちに寄りそった介護ができる社会を目指したいです。また、「マジ神AI」は人財育成や介護職全体の価値向上にもつながると思います。さらに、根拠のある多様なデータの読み方や使い方を広く伝え、介護職だけでなく、ヤングケアラーや介護に悩む方々の支援もしていきたいし、高齢化が急ピッチで進む諸外国にも何らかの形で還元することができたらいいな、と思っています。

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