ストレスで口カラカラ、は要注意。喉を潤し、食生活のバランスも意識

第三部 パネルトーク いま注目が集まる粘膜免疫
~覚えておくべき重要ポイント~

左から西沢研究員、國澤さん、内藤さん
左から西沢研究員、國澤さん、内藤さん

 第三部では、日経BP総合研究所客員研究員の西沢邦浩がパネリストを務め、國澤さん、内藤さんとパネルトークが行われた。

 まず、風邪やインフルエンザなどの病原体の侵入口となる上気道で粘膜免疫の機能が低下する要因として、國澤さんは「ストレスに注意してほしい」と言う。

  「ストレスを感じるときや口を開けて眠ってしまったときなどは、口がカラカラに渇きます。こういうときには唾液量が減り、粘液層も薄くなっていると考えられます」(國澤さん)

 内藤さんも「ストレスで緊張すると私たちは無意識のうちに水を飲みますが、知らず知らずのうちに渇いた口を潤し、粘膜免疫を守っているのかもしれません。粘膜には、病原体などの異物を外に押し出そうとする線毛や免疫物質が存在し、それらは常に宿主の状況に応じて動的に働き、感染をブロックしています。ストレスは、そういった粘膜組織の動的な因子の活動を一時的に止めてしまうのではないでしょうか。こまめに水分をとることや、マスクで口の中の湿度を高めることを意識したいですね」と頷いた。

 内藤さんは百寿者が多い京丹後地域で高齢者の腸内細菌の解析をする調査を行っているが、「この地域の高齢者の腸内細菌では全身の健康に有用な短鎖脂肪酸の一つ、酪酸を作る腸内細菌が多くを占めていました。また、インフルエンザ罹患者や肺炎による入院を経験した人も非常に少ないという解析結果が得られました」と解説した。

 その理由は明らかにはなっていないが、百寿者の生活や食生活にヒントがありそうだ。

 「彼らの食生活を調べると、魚をよく食べ、動物性脂肪の摂取比率が少なく、野菜や海藻、精製されていない全粒穀物などから食物繊維を多く摂取しています。日常生活での活動量が多く、早寝早起きで、概日リズムに合った生活をされている。ありきたりではありますが、健康的な暮らしというものが影響しているのであろうと考えています」(内藤さん)

 今回のセミナーの主題となった粘膜免疫は、生命活動の基本的システムであり、日々の食生活の影響も受け、粘膜という局所だけでなく全身の免疫を調整している大切な仕組みといえる。私たちも自らの食事やライフスタイルを振り返り、粘膜免疫をしっかりと維持していこう。

取材・文/柳本 操 写真/田中勝明 図版作成/RINTO DESIGN 構成/大霜佳一(remix inc)

この記事はシリーズ「ライフスタイル・新時代」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。