「人間中心」を実現する、社員・次世代人材への施策

 このようなクレスコの強みを支えているのがエンジニアである。同社は、企業理念の第一項で「クレスコは人間中心、実力本位の会社である」とうたっている。社員が自らの実力を最大限に発揮することこそが、顧客満足やより良い社会の実現、そして自社の成長につながる。これが同社の基本姿勢だ。

 この方針のもと、各種の人材育成施策を展開。職歴に合わせた技術系・ビジネススキルの研修から、コーチング・メンタリングなどヒューマンスキルの研修まで、幅広いプログラムを用意しているほか、最新のデジタル技術に関する講座なども随時拡充しているという。「さらに、コロナ禍を受けてeラーニング講座も強化しています。コンテンツを拡充することで、リアル講習よりも多くの社員に対し、効率的に教育が行えるようになりました」と冨永氏は紹介する。

 また同社は、ものづくりの魅力を次世代へ発信する取り組みも行っている。その一例が、後述する「クレスコフェア2021」の一環として、夏休み期間に実施した「子供向けデジタル体験プログラム」だ。同社グループ社員の子供を対象に、デジタル技術を用いた作品を制作した。「実際にものづくりを体験してもらうことで、未来の社会の担い手である子供たちに“わくわく”する経験を積んでほしいと考え、実施しました。このような取り組みもこれからの時代のSIerとして重要な役目だと考えています」(冨永氏)。

イベントを通じて技術力や社風を広く発信

 加えて、同社の取り組みの中でもユニークなものが「デジタルアイデアコンテスト」だ。エンジニアが業務の現場で習得した知識・技術をベースに、顧客や社会の課題解決に貢献するアイデアを検討する。これを社内公募で集め、評価と表彰を行うものである。

 「もともとは金融業向けのシステム開発を担う事業部で始まったイベントですが、そこから多くの面白いアイデアが出てきたことを受け、1995年以降は全社で実施しています。ものづくりに生きがいを感じるエンジニアが多く在籍していることもあり、イベント当日は全社を挙げてのお祭りといったムードです」と冨永氏。このコンテストからは、その後ソリューションとして商用化したアイデアも複数登場している。まさに同社の競争力の源泉となるイベントといえるだろう。

 2021年には、このデジタルアイデアコンテストをベースに、社外の人間も参加できるオンラインイベント「クレスコフェア2021」を開催した。ITや先端技術に関する有識者を講師に招き、デジタル技術の最新動向を紹介。同時に、クレスコグループが提供するデジタルソリューションや、クレスコ技術研究所の研究成果などを、イベント会場を模した3Dのバーチャル空間を訪れて閲覧できる仕組みを提供した(画像)。

「クレスコフェア2021」<br> 3D空間上で様々な講演や展示ブースにアクセスできる。長く社内イベントとして行ってきたデジタルアイデアコンテストも、今回はこのイベント内で作品を公開した
「クレスコフェア2021」
3D空間上で様々な講演や展示ブースにアクセスできる。長く社内イベントとして行ってきたデジタルアイデアコンテストも、今回はこのイベント内で作品を公開した

 「このイベント内で、デジタルアイデアコンテストの作品も発表しました。エンジニアにとっては、社内外から寄せられる反応がものづくりへの一層の励みになるでしょう。また、イベントを訪れた方にとっても、新たな気付きが得られる場になればと思います。加えて、人間中心のものづくりに力を注ぐ、当社の社風や技術力も感じてもらえれば、こんなにうれしいことはありません」と冨永氏は語る。

 技術力と業務知識を強みに、「人間中心」を主軸にして成長を続けるクレスコ。同社は、日本企業がDXに取り組む上で、まさに信頼できるパートナーになってくれるはずだ。

この記事はシリーズ「経営戦略・新時代」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。