提供:BEENOS

コロナ禍でインバウンド消費が見込めない中、注目が集まる越境ECの現状や成功の秘訣について、越境EC黎明期よりクロスボーダービジネスに関する事業を展開するBEENOS 代表取締役 直井聖太氏に話を聞いた。

現在、越境ECで狙うべき地域は中国だけにあらず

 ジェトロ(日本貿易振興機構)の海外調査部が2021年2月に発表した「2020年度日本企業の海外事業展開に関する報告書」によれば、EC利用企業のうち65%が海外向け販売でECを活用しているという。この数値は2016年度からは17.8ポイント、2018年度からは12.2ポイント増加している値だ。

Eコマース利用実績のある日本企業のEコマースの利用状況。<br>出典:「2020年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書」日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部 2021年2月
Eコマース利用実績のある日本企業のEコマースの利用状況。
出典:「2020年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書」日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部 2021年2月

 この結果からもわかるようにかねてから拡大傾向にあった越境EC市場だが、コロナ禍による巣ごもり需要によりさらなる活況を呈しているようだ。

 さて越境ECと聞くとまず頭に思い浮かぶのは中国市場ではないだろうか? 確かにこれまで世界中から数多くの企業が参入してきたマーケットであることは間違いない。しかし、BEENOS(ビーノス) 代表取締役 執行役員社長 兼 グループCEOの直井聖太氏は、現在の越境ECは中国市場だけでは語れないと強調する。

 「日本企業の越境ECが進んだきっかけは、アベノミクスでした。円高が是正されたことで、日本製品が購入しやすくなり、特に中国で需要が高まったからです。そして、このタイミングで、アリババをはじめとする中国のIT企業がこの流れをビジネスに取り込んでいきました。その結果、越境ECのマーケットとして中国市場は急成長し、『越境EC=中国』というイメージが定着したわけです。ただ、中国のEC環境は独自の発展を遂げているため、参入が難しい面もあり、過去には越境ECで中国市場に打って出たものの、思ったような効果が表れず、撤退を強いられた企業も少なくありません。しかし、現在では中国以外の地域でも日本製品に対する関心が高まっています。つまり、世界に目を向ければ日本企業が狙えるマーケットは中国だけではなくなっているのです」

BEENOS 株式会社<br>代表取締役 執行役員社長 兼 グループCEO<br><span class="fontBold">直井 聖太 氏</span>
BEENOS 株式会社
代表取締役 執行役員社長 兼 グループCEO
直井 聖太 氏

 実際に、BEENOSが提供するサービス「Buyee(バイイー)」の2021年第一四半期の流通総額は前年同期比+49.7%で過去最高を継続更新。越境EC自体のニーズは顕著だが、アメリカでの流通は前年同期比+90.4%と大幅に伸長するなどアジア以外のエリアでも日本製品に対する関心は高まっているようだ。中国以外にも流通総額が伸長したポテンシャルの高いエリアは、ASEAN、台湾を筆頭にまだまだ多く存在するという。

 「コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、インターネットメディアの動画を視聴する機会が増えたことが影響していると考えられますが、米国ではアニメをはじめとする日本のエンタメコンテンツ関連商材のニーズが高まっています。また、ここまで順調な経済成長を遂げているASEAN諸国や台湾では、日用品を中心に、以前は高価で手が届かなかった日本製品が人気を集めているのです」(直井氏)

 しかし、これらの地域でEコマースを展開する日本企業はまだ少ない。「だからこそマーケットの伸びしろがある」と直井氏は語気を強める。

続きを読む 2/3 以前に比べると格段に低くなったEC参入のハードル

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