提供:SAPジャパン
保険サービスの革新など、業界に先駆けたDXの取り組みを展開する東京海上日動火災保険。同社はこのたび、SAP、SAPジャパンおよび金融領域に特化したベンチャー企業であるSAP Fioneerとの協働によって基幹系システム刷新に取り組んでいる。これにより目指す新しいビジネスの姿とは。3社のキーパーソンに話を聞いた。
人とデジタルのベストミックスで変革を推進
東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)はグループを挙げてデジタル変革を推進していると伺っています。その背景と狙いを教えてください。

原田:社会は今、大きく変わろうとしています。人口動態の変化、自動運転技術やAIをはじめとしたテクノロジーの進展、自然災害の激甚化といった中長期的なトレンド、さらに2020年からのパンデミックによって人々の暮らしやビジネスのデジタル化が一気に進みました。保険業界を取り巻く環境も様変わりしており、ゲームのルールそのものが日々新しくなっていくことを実感しています。
一方、自らが変革することで、このような変化をしっかりと捉えていくことができれば、新たな価値を創出する好機ともなります。そこで「お客様や地域社会の“いざ”を支え、お守りする」という東京海上グループのパーパス(存在意義)を軸に、近年は防災・減災、事故の予兆検知、あるいは事故発生時の早期復旧・再発防止といった事後サービスの拡充に力を入れてきました。お客様の“いざ”をお守りするため、“いつも”支えることができる存在へ進化することを目指しています。
その際に不可欠なのが、「データ」や「デジタル」の徹底活用です。ビジネス課題の解決をゴールに据え、既存の考え方に囚われずに、様々なアイデアのトライアル&エラーをスピーディに進めています。
もう一つ、人の力を忘れてはいけません。保険ビジネスはお客様に寄り添うことが何より大切であり、決してテクノロジーだけでは完結できないものです。グループのパーパスを全社員が真に理解し、「自分ごと」としてその実現に向け創意工夫しチャレンジし続ける。人の力とデジタルの力のベストミックスで、これまでにない新しい保険会社になることを目指しています。
東京海上日動において、デジタル/ITの重要性はどのように考えられていますか。
原田:当社は約60年前の1961年に「事務機械化9原則」を策定しました。ITを経営の真の力として活用する「ITガバナンス」のあるべき姿を定義したこの原則に則り、継続的な改善を実行し続けてきたことで、グループのパーパスを支えるIT利活用を定着させてきました。
中でも重要視するのは次の2つです。1つは、最新・最適なテクノロジーやソリューションを選定する「目利き力」。常に先進の技術、グローバルスタンダードを追求し、我々の中長期的なビジネスへの適合を評価しています。もう1つは、IT導入プロジェクトを最後までやり切る「execution力(実行力)」です。IT部門と経営、ビジネス部門が一体となって取り組むことで、単なるテクノロジー導入では難しい展開活用まで含めたプロジェクトの真の成功・成果につながります。
また、このような変革への取り組みを自社だけで進めるのは非効率です。当社は、高度な知見・ノウハウを備えたパートナーと組むことも不可欠だと考えており、そうすることで、テクノロジーの価値をいち早く自社ビジネスに取り込んでいくことを目指しています。
今回、基幹系システムにSAPの保険業界向けパッケージ「SAP for Insurance」を導入されていると伺っています。国内保険業界で初の採用とのことですが、SAP製品を選んだ理由について教えてください。
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