「保育」を通じてあくなき挑戦を続ける公認会計士

 名古屋駅近くにある人気の託児所「はないと」。一時預かり専用の託児所で、自宅から少し離れていてもここを選ぶという利用者は少なくない。

 育児中の母親が絶大な信頼を寄せる理由はそのサービスにある。1つ目は、「いつでも手ぶらでOK」なこと。着替え、おむつ、タオル、ミルク、ふとんなど、必要なものはすべて託児所が用意してくれる。当日予約も可能なので、急に予定が入ってもバタバタすることがない。2つ目は、「絶品手作りできたて給食」の提供。専任の管理栄養士が献立を作成し、すべて一から手作り。離乳食は月齢によって味付けも変えている。こうした食事の提供は、保育園以外の民間の託児所では珍しいサービスだ。

 「はないと」の代表、美辺香澄氏は、公認会計士で7歳と2歳の子を持つ母。長男出産後、会計士の仕事を続けるため託児所を利用したものの、不便に感じることがいくつもあったため、一念発起して自ら事業を立ち上げたという。銀行に提出する事業計画書も自分で書き、融資を受けて、2016年に「はないと」を開園。起業から5年経った今も、より質の高い託児所にしようと、日々試行錯誤を続けている。

<span class="fontBold">美辺香澄氏</span><br />はないと代表・公認会計士<br />同志社大学在学中に公認会計士の資格取得。結婚、第1子出産後、一念発起して、2016年に、一時預かり専用託児所「はないと」を開園。充実したサービス提供のために、国や自治体から出る補助金を最大限活用。申請書類作成も、熱い思いを込めながら、美辺氏が自ら行う
美辺香澄氏
はないと代表・公認会計士
同志社大学在学中に公認会計士の資格取得。結婚、第1子出産後、一念発起して、2016年に、一時預かり専用託児所「はないと」を開園。充実したサービス提供のために、国や自治体から出る補助金を最大限活用。申請書類作成も、熱い思いを込めながら、美辺氏が自ら行う

 「はないと」で、最近新たに生まれたサービスが、多胎児の子育て支援「ふたごほいく」。育児の負担が重く、経済的な負担も多い双子家庭のためのプランで、自身も双子の姉という美辺氏ならではのアイデアだ。国や自治体からの補助金を利用することで、通常より大幅に安い金額でサービスを提供できると美辺氏。「例えば2歳児2人の場合、通常9979円のところを、3500円で預かれます」。双子のママを救う、画期的なプランだ。

 こうした補助金の申請にも、美辺氏の公認会計士としてのスキルが存分に注がれる。「補助金の申請には、事業の意義から細かい売り上げ予測まで、提出書類が山ほどある。一般的には中小企業診断士などに作成を委託することが多いが、それでは、思いを持っている人と書く人が分かれてしまう。一方、私は公認会計士だから書類作成ができる。思いもあるので書類にも言葉にもものすごく熱が入る。それは、読む人にも伝わっているはず」と話す。

 2歳の双子を給食付きで3時間半預けた、ふたごほいくサービス第1号の利用者となった母親は、買い物や外食など、久々の自分時間、つかの間の休息を満喫。一方で子どもたちも、託児所ライフを存分に楽しんでいた。

 「安心して子どもを預けられれば、母親も働けてもっと経済が回る。良い保育を広げることによって女性の活躍が広がれば、経済が潤う。それが、私が保育をやる最終的なゴール」と美辺氏は熱く語る。

 枠を超えた新たな挑戦は、低迷する日本経済の起爆剤になるはず。公認会計士たちのさらなる活躍に、今後も注目したい。

お問い合わせ先
日本公認会計士協会

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