「自然エネルギー」で未来をひらく公認会計士

<span class="fontBold">大串卓矢氏</span><br />スマートエナジー社長・公認会計士<br />環境をテーマにした仕事をしたいという自身の思いの実現と、社会を変えるための手段として、公認会計士に。監査法人で経験を積んだ後、2007年に会社を設立。<br />右下写真:太陽光発電施設の現場に足を運び、草刈りなどの保守管理業務も自ら手掛ける大串氏。環境や自然エネルギーへの思いは深い
大串卓矢氏
スマートエナジー社長・公認会計士
環境をテーマにした仕事をしたいという自身の思いの実現と、社会を変えるための手段として、公認会計士に。監査法人で経験を積んだ後、2007年に会社を設立。
右下写真:太陽光発電施設の現場に足を運び、草刈りなどの保守管理業務も自ら手掛ける大串氏。環境や自然エネルギーへの思いは深い

 「脱炭素をビジネスのチカラで」をコンセプトに、太陽光や風力をはじめとした自然エネルギーに関わる様々な事業、施設の設計から設置、管理までを一連展開している「スマートエナジー」。創業は2006年、社員数は約200名。保守管理業務では国内トップシェアを誇る企業だ。その代表を務めているのが大串卓矢氏。公認会計士となり、さらにその後、環境をテーマにした本事業を立ち上げたのは、自身が幼少期に小児喘息を患っていたことが起点になっている。

 体が弱いことがコンプレックスだった大串氏を、回復に導いたのが自然。「人間が人間らしく生活するには、きれいな空気や水が重要だと思った」と大串氏。そして自身の中に膨らんでいった、「環境をテーマにした仕事をしたい」という思い。しかし、30年前にそんなビジネスは見当たらなかった。そこで選んだのが、公認会計士という仕事。企業活動の原理を知り、環境とどう結びつけられるか考え、自らビジネスを生み出そうと考えたのだという。今や、地球温暖化をはじめとした環境問題は、日本のみならず世界中の喫緊の課題。「早くなんとかしなければならない。我々がやらないとみんなついてこない。そんな思いで事業と向き合っている」と大串氏は話す。

 温暖化ガスの排出量削減など、環境問題に配慮した企業活動が急速に求められるようになってきている中、環境への取り組みを一緒に考えてほしい、アドバイスしてほしいという相談が、数多く大串氏の下に届いているという。大串氏が監査法人で働いていた時に担当していた、山梨県上野原市の精密電子部品メーカー「エノモト」からも、環境に配慮した経営計画の依頼を受けた。取引先である外資系大手企業から、環境対策の計画、説明を求められているというエノモトに対し、大串氏は、自然エネルギーを自らつくって使うこと、取り壊し予定の工場跡地に、太陽光発電設備を設置することを提案。「環境のために何億円もお金を費やしたのに、何もリターンがないということでは、企業活動は成立しない。投資に対する付加価値をきちんと数字にして、みんなが納得するプランを考えることが私の仕事。そこが、公認会計士としての腕の見せどころ」と話す。

 また、大串氏が新たに力を入れようとしているのが「ソーラーシェアリング」。農業と太陽光発電を両立する、営農型のソーラーシステムだ。パートナーは、栃木県宇都宮市の農業法人「グリーンシステムコーポレーション」。農業を本業とする彼らがエネルギー分野に乗り出すにあたって、事業計画を作成したり、それをもとに投資家や銀行から融資を受けたりするためには、太陽光発電事業に精通している公認会計士の存在は必要不可欠。大串氏に寄せる信頼は厚い。

 大串氏が目指しているのは、日本の再エネ業界における最高の経営者。「環境問題はボーダーレス。日本で培ったノウハウを、今後は世界に発信していきたい」と抱負を語る。

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