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価格で悩むうちに旅行自体が面倒に?

 価格が動けば動くほど、消費者には自分が受けるサービスの価値が分かりづらくなる。「ゴールデンウィークに来ていただいても、その次の週に来ていただいても、我々が提供しているサービスは同じ」(星野代表)。それなのに数倍の料金差が開くことで、顧客からの信頼を失うリスクがあると判断した。

ベブファイブ軽井沢では、宿泊者全員が35歳以下であれば、季節・曜日に関係なく、2~3人用の部屋に一律1室1万6000円で泊まれるようにした。

 星野代表は「ブランドへの信頼は『この価値のものが、この値段で手に入る』という安心感によって醸成される」とも語る。同社はベブファイブ軽井沢を、旅慣れていない20~30代の消費者に旅の楽しさを知ってもらう第一歩としたい考え。ベブファイブを「星のや」「界」など高級ブランドへの誘導役とするためにも、まずは気軽に足を運んでもらうことを優先する。

 星野代表は「価格の分かりやすさが、どれだけ若い世代の旅行需要を押し上げるのか試したい」と意気込む。変動料金が当然とされるなかでの異例の取り組みは、業界に一石を投じることになるか。ダイナミック・プライシングを手がける航空など他産業にとっても注目事例となりそうだ。

商いの根幹である値決めに、革命が起きようとしている。ネット通販サイトはより頻繁に、細かく、自動で価格を動かし、「一物一価の原則」が通用しない時代が目前に迫っている。日経ビジネス3月18日号特集「ダイナミック・プライシング」では、アマゾン・ドット・コムなどを舞台に急変動する価格の裏側に迫り、消費者の生の声も掲載している。