「タコス」に着想、モナカのように湿気ないサクサク感を追求

 さて、クリスピーサンドはどのように開発されたのか。太田さんに当時の話を聞くと、「市場調査をしていた開発担当者が、メキシコ料理のタコスを食べたのがきっかけだったそうです」。タコスは、具を包むトルティーヤのパリパリ・サクサク感が最後まで楽しめる。

 「当時の日本にもモナカで包んだアイスクリームはありましたが、溶けて水分が浸透して湿気てしまい、サクサク感が持続しません。『最後までサクサク感が残るアイスクリーム』が、当初の着想だったそうです」(太田さん)

 実際、タコスの形をそのままアイスクリームにしてみた試作品も開発してみたという。「ですが、アイスクリームの充てんがうまくいかずに断念しました」と太田さんは解説する。生産コストの面だけでなく、店までの運搬中に割れたり壊れたりしやすい形状ではクレームも増えかねない。

タコスの形をまねたクリスピーサンドの試作品
タコスの形をまねたクリスピーサンドの試作品

 そこで考え出したのが、コーティングしたアイスクリームを真ん中にしてサクサクのウエハースでサンドイッチのように挟んだ形状だった。

 「次に悩んだのが、どんなフレーバーにするかでした」(太田さん)。様々なアイデアは出たが、サクサクしたウエハースとの相性を見極めるのが難しかったからだ。

 そんな折に「ハーゲンダッツ」のブランドを持つ米食品大手ゼネラル・ミルズ出身だった当時の日本法人副社長がキャラメル味との相性の良さを提案。念頭にあったのは、ハーゲンダッツのフレーバーとして世界的に人気の「ドルセ・デ・レチェ」だ。砂糖と牛乳を熱してペースト状のキャラメルにする、ラテンアメリカの伝統的なお菓子だ。日本では2000年にミニカップ製品として発売され、人気も出ていた。

 サクサクのウエハースとキャラメルの後を引く味わいのマッチングが、クリスピーサンドの第1号として商品化された。タコスで着想を得てから実に7年もの歳月がたっていた。

 発売後の人気はすさまじかった。太田さんは一般の消費者だった当時を振り返って「斬新な商品が出てきたな、と思った記憶があります。実際に、生産が追いつかなくなり、一時は販売休止とするしかありませんでした」と話す。

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