2月、ハウス食品から新たなレトルトカレーが発売された。その名も「やさしく夜遅(よるおそ)カレー」。レトルトカレーといえば、パウチと呼ばれる袋に入れられ、加熱して皿に移し替えて食べる商品を思い浮かべがちだが、夜遅カレーはカップ入り。レンジで温めるだけでそのまま食べられるだけでなく、野菜をふんだんに使った上に約90kcalと、おにぎり1個分(文部科学省の日本食品標準成分表によると100gが179kcal)よりも抑えており、斬新さが話題となっている。

夜遅カレーは幅約9.5cm、高さ約6.5cmと、カップ麺に比べるとやや小さな容器に入っている。作り方はカップのふたを少し開け、500ワットの電子レンジで1分間温めるだけだ。ラインアップはトマトの甘みが溶け込んだ「まろやか完熟トマト&5種の野菜」と、玉ねぎの甘みとブイヨンのコクが溶け込んだ「濃厚あめ色玉ねぎ&ブイヨン」の2種類。ポタージュ仕立てをうたっており、普段口にするカレーに比べると、よりスープに近いように感じる。
気になるのは「夜遅」という商品名。「夜鳴きうどん」や「夜鳴きそば」のように、鈴を鳴らして進む屋台をイメージするかもしれないが、そうではない。小腹が空いたときの夜食として、これまでレトルトカレーをあまり食べてこなかった女性にも手軽に食べてほしいという狙いがあった。
市場拡大も若い女性は敬遠
ハウス食品によると、14年度は508億円だったレトルトカレーの市場規模は19年度には612億円に伸びた。背景にあるのは、高齢世帯や共働き世帯の増加で、より簡単に作ることができる食事への需要が高まったこと。災害が相次ぐ中で非常食として久々にレトルトカレーを購入した層も多く、「レトルトカレーはおいしくないと敬遠していた人たちも、あらためて食べてみるとおいしいと気付いてくれたケースもある」(ハウス食品広報)という。
ただ、レトルトカレー市場が広がる中でもなかなか消費が進まない層があった。それが20~30代の単身女性だ。
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