まばゆい光を放つガンプラ。ペンで塗装したとは思えない出来栄えだ。下の写真は塗装前のもの(商品企画:BANDAI SPIRITS、©創通・サンライズ)

 まずは写真のプラモデルを見てほしい。キラキラと輝きを放ち、鏡のように美しいガンダムのプラモデル。メッキ加工した部品を組み立てたものに見えるが、そうではない。組み立てたプラモデルに、ペンで塗装したものだ。

 「コレスゴすぎる…」

 4月14日に、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)製作が趣味というアカウントが写真付きで紹介したあるツイートが瞬く間に拡散した。コンビニエンスストアでもらえるプラスチック製の白いスプーンを、プラモデル用のマーカーで塗ったものだ。

4月9日に出荷されたガンダムマーカーEXの新色「ガンダムメッキシルバー」(税込み660円)は初回ロットが1週間で完売

 鏡面のように辺りが映り込む美しさで、ステンレスのものと見まがう仕上がり。とてもプラスチック製のスプーンにペンで塗装したとは思えない出来栄えに、つぶやきには15万件近い「いいね」が押され、プラモデル愛好家以外の関心も呼んだ。

 この仕上がりを可能にしたのは「ガンダムマーカーEX」というペンタイプの塗料で、GSIクレオスが製造・販売する。名前の通り、ガンダムのプラモデル向けを主眼にGSIクレオスがバンダイナムコホールディングス傘下のバンダイスピリッツ(東京・港)との協業で作っている。カラー展開は約50色と豊富で、20年以上前からある人気シリーズだ。

 ネットで話題となったのは新色「ガンダムメッキシルバー」。ペンでさっと塗るだけで、筆跡が残らずに自分の顔が映り込むようなきれいな仕上がりを楽しめる。

 4月9日に出荷され、プラモデル愛好家やユーチューバーなどがこぞって紹介したこともあって話題となった。初回の生産ロットで出荷した数万本は1週間もたたないうちに完売。購入希望者は次回出荷の6月まで待たなければならない状態だ。

上方修正で株価は1年で3.4倍に

 GSIクレオスは創業90年の老舗商社で、生糸の輸出が祖業だ。アパレル向けの繊維や化学品が主力で、流れをくむグンゼは今も14%の株式を保有する筆頭株主だ。

 プラモデル向け塗料は同社の工業製品事業に区分される。扱う部署は、60年近い歴史がある「ホビー部」。プラモデル用の塗料や溶剤、接着剤に用具や工具なども手掛けるが、開発から営業まで13人という小所帯だ。

 従業員が約650人のGSIからすれば小さな組織に見えるが、存在感は大きい。新型コロナウイルス禍で、在宅で楽しめる趣味に注目が集まり、プラモデルも復権。プラモデル向け塗料の販売は「前年比で3割近いプラス」と同社ホビー部国内事業課の森一弘課長は胸を張る。

 GSIは今年2月、2021年3月期の通期連結純利益予想を上方修正した。前の期比29%増の13億円だった従来見通しを88%増の19億円に引き上げた。マスクなどの衛生用品の販売好調もあるが、国内外でプラモデル向け塗料の販売が大きく増えた点も後押しした。

 年間の配当予想は前期比15円増の60円と、従来予想の50円から10円積み増して株価も急騰。3月22日には10年来高値の1436円(21年3月末の株式分割を考慮したベース)をつけた。20年3月23日につけた10年来安値の419円(同)から、1年で株価が3.4倍に跳ね上がった計算だ。

続きを読む 2/2 高齢化するプラモデル愛好家

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