神棚とサブスクリプションサービスのかけあわせ

神棚は、ある意味一生物の買い物だと思います。新たな顧客獲得や、これからのビジネス展開が難しそうです。その点はいかがでしょう?

杉本氏:対策の一つとしては、神社との取り組みがあります。各神社特有の神棚を企画・製作から決済、輸送までを代行する神棚のOEM(相手先ブランドでの生産)ビジネスです。神棚を購入するのは、ECサイトを見ているときだけでなく、神社に訪れたときや、お札をもらったタイミングなどで思い立つこともあります。

神社から委託を受けて作る神棚。神社ごとにデザインや刻印などを変えて生産する
神社から委託を受けて作る神棚。神社ごとにデザインや刻印などを変えて生産する

 ただ、それぞれの神社が独自の神棚を自ら作るのは大変です。そこで静岡木工が代行しています。家具の上にポンと置くだけのものではなく、しつらえとして神棚を置きたいという需要にはマッチしたものをお作りしています。もう一つは、大々的に進めようとしているサブスクリプション(定期課金)サービスです。

サブスクですか。詳しくお聞かせください。

杉本氏:神棚には、お酒、お米、水、榊(サカキ)などをお供えします。これは、定期的に交換が必要なんですが、この榊も輸入品が多くなっています。そこで国産の榊をサブスクで販売しています。

昔の静岡木工と似た課題ですね。

杉本氏:中国産榊は安価な半面、葉っぱに強さがない。対する国産榊は、価格に見合う強さがあり、それこそ水の交換さえすれば1~2カ月持つくらい質が高いんですね。弊社では八丈島産の国産榊をECサイトで販売していますが、耕作放棄された土地の再興にもつながり、地方産業として成り立つ可能性を持っています。

 国産の榊を買いたかったけれども買える場所がないという隠れたニーズに刺さる商品だと思います。現状、月1000房ほど出荷していますが、これが1万房ぐらいになれば神棚と肩を並べるぐらいの事業になると思います。またラインアップも榊だけでなく、日本酒の定期販売専用商品も開発中です。9月ごろには出荷したいと考えています。

ヒットの兆しはここに有り

 先代のビジネスをスクラップ・アンド・ビルドし、神棚ビジネスに特化させた点が非常に興味深かった今回のインタビュー。

 隠れたニーズの存在を確信し、地道に粘り強く商品を開発・改良した点が、競合企業が参入しにくいヒット商品を生み出したのではないだろうか。また、国産であってほしいというニーズが、海外生産に転じた他社の参入を防いでいるという点もユニークだ。

 神棚は、安価なものであればECサイトで2000円台から購入できる(その多くは中国製だ)。そんな中で、価格競争にならない方法で多くの人を引き付けている点に、ビジネスとして学ぶべきポイントがあるのではないだろうか。

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